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巨額赤字で大爆死! 史上最低の大コケ日本映画(5)。もはや悪趣味…「凡人には理解不能」なセンス炸裂で惨敗

text by 寺島武志
松本人志
松本人志Getty Images

名作と呼ばれる映画は、人々の心に刻まれ、愛され続ける。映画を製作した者にとってはこの上ない喜びであり、目指すところでもある。だが、映画も商売であり、興行収入が製作費を上回らない限り、その映画は“失敗作”になってしまう。今回は「製作費◯◯万円!」と銘打ったものの、大爆死…。今回は、そんな残念な日本映画を紹介したい。今回は第5回。(文・寺島武志)

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わからない人はセンスがない…?
松本人志の映画監督撤退を決定づけた一作

『R100』(2013)


出展:Amazon

製作国:日本
監督・脚本:松本人志
製作総指揮:白岩久弥
共同プロデューサー:奥山和由
キャスト:大森南朋、大地真央、寺島しのぶ、片桐はいり、冨永愛、佐藤江梨子

【作品内容】

会社員の片山(大森南朋)は、性的嗜好をMとしており、欲求を満たすためにクラブ「ボンテージ」に入会する。ボンテージの契約は、日常生活の中に女王様を派遣するという内容だ。

しかし、徐々にプレイがエスカレートしていき、家族にまで影響が及んでしまうことを懸念した片山は、中止したいと申し出るが、却下されてしまう。そこで片山はボンテージと戦うことを決める。という映画を、100歳の映画監督が製作し、関係者への試写を行うが…。

【注目ポイント】

ダウンタウン・松本人志が監督を務めた4作目の長編劇映画。2007年に自身が監督・脚本・主演を務めた『大日本人』は大きな話題となり、興行的にも成功を収めたが、2作目の『しんぼる』、3作目の『さや侍』では尻すぼみとなっていき、同作では10億円もの製作費を投じたにもかかわらず、興行収入は約2億円の大惨敗。これが事実上の“引退作”となった。

大地真央、寺島しのぶ、片桐はいり、冨永愛、佐藤江梨子といった面々が、ボンデージファッションに身を包み、主人公の片山を責めるSMシーンが見どころの一つだが、物語に奥行きがなく、そもそも「SM」というものの本質を理解していないような、ただ痛めつけ、また痛めつけられる表面的なイメージが抑揚なく続く。

途中、実はこのストーリーは3人の男が劇場で見ていた『R100』という映画で、100歳になった映画監督が撮った作品だという“種明かし”がなされる。まるで、本作が描くナンセンスなストーリーは、100歳の老人にならないとわからない、というメッセージが込められているようだ。

この唐突ともいえる展開は松本自身からのメッセージとしても読み取れる。現在では随分丸くなったものの、かつて、若き松本は「俺のお笑いが分からない奴はアホ」と、度々発言していたからだ。しかしながら、あえて上記のメッセージをまともに受け取っても疑念が残る。鑑賞者が100歳を超えた老人であっても、本作の面白さを理解するのは難しいのでは…? と思えるからだ。

ラストシーンに至っては、片山が今度はSに目覚め、手榴弾で次々と女たちを殺害していく。もはや「悪趣味」という批判を受けてもしようがないだろう。

お笑い芸人が映画監督を務め大成功した例として真っ先に思い浮かぶのは北野武である。北野映画も万人ウケしない難解な作品が多いのは事実だが、『HANABI』(1997)のヴェネツィア国際映画祭金獅子賞(最高賞)受賞をはじめ、国際映画祭で高く評価されている。それに比べると、国際映画祭で目立った存在感を示せなかった松本監督作品の残念っぷりは際立っている。

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