ホーム » 投稿 » 5選記事 » 「自身の尿を呑むハメに…」絶体絶命、極限状態のサバイバル映画(3)。動けない…想像を絶する恐怖の実体験

「自身の尿を呑むハメに…」絶体絶命、極限状態のサバイバル映画(3)。動けない…想像を絶する恐怖の実体験

text by 編集部

今回は、究極の“詰んだ”シチュエーションを描いた映画をランキング形式で紹介。ちなみに“詰んだ”とは、物事が立ち行かなくなり、救済方法や解決方法が見つからない状況を言う。今回はそんな極限状態で、何度も「もう終わりだ…」と思わせられる、最後の最後まで気が抜けない、観ると猛烈に疲れる映画5選を紹介する。今回は第3回。

—————————

水が尽き、自身の尿を呑むハメに…。
実在する登山家の恐怖の実体験を映像化

3位『127時間』(2010)”詰み度”85%


出典:Amazon

原題:127Hours
製作国:アメリカ・イギリス合作
監督:ダニー・ボイル
脚本:サイモン・ビューフォイ、ダニー・ボイル
原作:アーロン・ラルストン
キャスト:ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ

【作品内容】

登山家のアーロン・リー・ラルストンの自伝「奇跡の6日間」を映画化。山中の断崖に腕を挟まれた状態の生死のはざまで127時間を過ごした登山家を襲う絶望と希望を描いた作品。

2003年4月25日夜。当時27歳だったアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、キャニオンランズ国立公園にキャニオニングに出発。翌朝、彼は自転車で走り、その後は徒歩で目的地を目指す。

しかし、アーロンは岩とともに滑落して、右手が岩と壁の間に挟まれてしまう。身動きが取れなくなり、大声で助けを呼ぶも周囲には誰もいない。アーロン独りの力では岩はビクともせず、岩を削ろうにも持っていたナイフはまるで役に立たない。彼は1本の水とわずかな食料で食いつなぎ、そしてビデオカメラに自らの様子を記録し始めるのだが…。

【注目ポイント】

本作のモデルとなった登山家アーロンラストンGetty Images

非日常に漂着するのでも、外敵に襲われるのでもなく、その場から”身動きがとれない”恐怖を描いた作品。主人公・アーロンはまさか自身が遭難するとは思ってもいなかったため、手持ちの飲料水はごくわずか。しかも場所は炎天下の渓谷である。主人公は、最後の水を飲み干すと、喉の渇きに耐えられず自分の尿を飲む。そして、死の訪れを感じ始め、ビデオカメラの映像は次第に狂気を帯びていく。

岩に挟まった主人公の挙動を記録するだけのアクションに乏しい映画ではある。しかし、観る者はスリルを味わう。それは、暗闇の中、不動の姿勢でスクリーンに対峙する観客と、岩に嵌って動けない主人公の状況に親和性があるからだろうか。

主人公と映画館の観客との親和性は不自由さのみに見出せるわけではない。主人公は死が近づくにつれて空想にふけるようになり、家族や元恋人と過ごした思い出がフラッシュバックする。『トレイン・スポッティング』(1996)でジャンキー青年の生を活写したダニー・ボイルは、本作では、水や食料を渇望する主人公の姿をまるで薬物中毒者のように描いている。不動の姿勢で甘美な夢(映像)を見るという点でも、主人公と観客には共通性があるのだ。

翌朝には自身は死んでいるだろうと覚悟していたが、夜明けに目を覚ましたアーロン。その後「挟まった腕をねじって力を加えることで、前腕部の二本の骨を折ることができるのではないか」と直感。想像を絶する痛みに耐えながらも腕の切断に成功する。そのお陰で”詰んだ状況”から脱出できたものの、代償はあまりにも大きい。

巧みな演出で主人公が陥る”詰んだ状況”を追体験させる必見の一作。ぜひジュースやお菓子などを口にせず、主人公と同一化するようにして鑑賞することをお勧めする。

amazonprime

【関連記事】
絶体絶命、極限状態のサバイバル映画(1)
絶体絶命、極限状態のサバイバル映画(4)
絶体絶命、極限状態のサバイバル映画(全作品紹介)

error: Content is protected !!