「絶望しかない虚無」絶体絶命のサバイバル映画(5)。宇宙空間で独りぼっち…詰み度100%の壮絶浮遊
今回は、究極の“詰んだ”シチュエーションを描いた映画をランキング形式で紹介。ちなみに“詰んだ”とは、物事が立ち行かなくなり、救済方法や解決方法が見つからない状況を言う。今回はそんな極限状態で、何度も「もう終わりだ…」と思わせられる、最後の最後まで気が抜けない、観ると猛烈に疲れる映画5選を紹介する。今回は第5回。
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虚無のような宇宙空間で独りぼっち
主人公に自分を重ねると絶望的な気持ちになる一作
1位『ゼロ・グラビティ』(2013)”詰み度”100%
原題:Gravity
製作国:アメリカ
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン、ホナス・キュアロン
キャスト:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー、エド・ハリス
【作品内容】
スペースシャトル「エクスプローラー号」での活動中に、予期せぬ事故で宇宙空間に投げ出され、絶望的な状況で漂い続ける2人の宇宙飛行士の運命と無重力の世界を最新VFXと3D技術を駆使してスリリングに描いたSFドラマ。
スペースシャトルのメディカル・エンジニア初めての宇宙飛行に参加していたライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)とベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)、そして同僚のシャリフ(ファルダット・シャーマ)は、宇宙空間で作業をしていたが、そこへ管制室から、ロシアの人工衛星が破壊されたことにより発生した宇宙ゴミが近付いているため、避難するように命令が入る。
避難を試みた3人だったが、宇宙ゴミがスペースシャトルに衝突し、その衝撃で3人は宇宙空間に放り出されてしまう。シャリフは宇宙ゴミが衝突し死亡。残された2人はパニックになりながらもコワルスキーの冷静な指示で、何とかストーンを自分の体にロープでつなぐことに成功するのだが…。
【注目ポイント】
眼下に広がる青々とした地球、重力から解放された身体の自由な運動…。宇宙空間は、映画においてしばしば楽園的に描かれることが多かった。しかし、宇宙船へのアクセスを断たれ、たった一人で広大な宇宙に取り残されたとしたら…。誰もが生きる望みを捨て去るに違いない。本作が描く恐怖はそうしたものだ。
冒頭ではVFX技術を駆使した圧倒的な映像美によって宇宙空間の素晴らしさがこれでもかと印象づけられる。しかし、宇宙ゴミの襲来によって、状況は地獄絵図に変わる。宇宙ゴミはとんでもないスピードで地球を周回しており、握りこぶしサイズのものでも、ぶつかれば即座に死に至る。さらに、宇宙ゴミは90分の周期で地球を1周するため、一度難を逃れたと思っても、襲来から90分後、再びやってくる。まさに究極の”詰んだシチュエーション”である。
宇宙旅行が一般化し、宇宙飛行士のみならず、一般人が宇宙に旅立つ「宇宙旅行ビジネス」も次々と誕生している今、改めて宇宙の恐ろしさを実感させてくれる一作だ。
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