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実在する悪女の人生を描いた日本映画(2)。邦画屈指の傑作! 7つの顔を持つ実在の強盗殺人犯の逃亡劇

text by 編集部

サロメに楊貴妃、そしてクレオパトラ—。洋の東西を問わず、“悪女”はその美貌で男性を魅了し、男たちをその手の内で転がしてきた。しかし、よくよく調べてみると、“悪”の一言では片づけられない彼女たちなりの大義があったりする。本記事では、実在する“悪女“たちをテーマにした邦画5本を選定。彼女たちの悪の魅力を存分にご紹介しよう。今回は第2回。

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強盗殺人犯・福田和子をモデルとした”逃亡ロードムービー”

『顔』(2000)


出典:Amazon

監督:阪本順治
脚本:宇野イサム
出演者:藤山直美、豊川悦司、國村隼、大楠道代、牧瀬里穂

【作品内容】

吉村正子は、クリーニング店を営む母親を手伝う冴えない中年女性。家にひきこもりきりで恋人も友人もいない。そんなある日、母親が突然急死。通夜の席でホステスをしている妹から厳しい言葉を浴びせられた正子は、衝動的に彼女を殺してしまう。我に返った正子は自宅から逃亡。初めて外界へ出た彼女は、さまざまな人との出会いの中で生きる希望を見出していく。

【注目ポイント】

主人公の妹役を演じる牧瀬里穂Getty Images

本作は、実在の強盗殺人犯・福田和子をモデルに、女性逃亡犯の姿を描いた異色の犯罪ドラマ。監督は『どついたるねん』(1987年)の阪本順治。主演の正子を喜劇女優・藤山直美が演じる。

モデルとなった福田和子は、1982年に同僚のホステスを殺害し、1997年に逮捕されるまで改名と整形を繰り返して逃亡を続けた。そんな凶悪犯を扱った本作だけに、さぞハードボイルドなクライムサスペンスになるかと思いきや、パワーあふれるロードムービーに仕上がっている。

出色は、主人公・正子役の藤山直美だろう。整形こそしないものの、「7つの顔を持つ女」という福田の異名に恥じない圧巻の演技を見せている。本作には他にも故・中村勘三郎や佐藤浩市など名俳優が多数出演。彼らの熱い演技合戦にも注目したい。

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