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実在する悪女の人生を描いた日本映画(5)。「鳥肌が立つほど恐ろしい」”女帝”の蛮行を描く名匠渾身の名作

text by 編集部

サロメに楊貴妃、そしてクレオパトラ—。洋の東西を問わず、“悪女”はその美貌で男性を魅了し、男たちをその手の内で転がしてきた。しかし、よくよく調べてみると、“悪”の一言では片づけられない彼女たちなりの大義があったりする。本記事では、実在する“悪女“たちをテーマにした邦画5本を選定。彼女たちの悪の魅力を存分にご紹介しよう。今回は第5回。

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「鳥肌が立つほど恐ろしい」
連合赤軍の”女帝”の蛮行を描く

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007)


出典:Amazon

監督:若松孝二
原作:掛川正幸
脚本:若松孝二、掛川正幸、大友麻子
キャスト:坂井真紀、井浦新(当時の芸名はARATA)、並木愛枝、本多章一、宮台真司

【作品内容】

学生運動が熾烈を極めた1960年代の日本。武力革命を旗印とした運動は次第に過激化し、逮捕者が相次いでいく。そんな中、赤軍派と革命左派の学生は共闘を決意し、連合赤軍を結成。鉄砲店を襲撃し武器を入手した彼らは、やがて真冬のあさま山荘にたてこもり警察との銃撃戦を繰り広げることとなる。

【注目ポイント】

永田洋子を演じた並木愛枝Getty Images

本作は、1972年に起きた連合赤軍メンバーのあさま山荘立てこもり事件をドキュメンタリータッチで描いた実録映画。監督は『キャタピラ』の若松孝二で、主演の遠山美枝子を坂井真紀が演じる。

本作に登場する悪女は、連合赤軍の内ゲバ事件「山岳ベース事件」の首謀者ともされる永田洋子。裁判では、事件の原因が永田の「不信感、猜疑心、嫉妬心、敵愾心」によるものと結論付けられ、女性特有の執拗さや冷酷な加虐趣味」がクローズアップされた。

ちなみに本作では並木愛枝が永田役を熱演。彼女がメンバーに暴力を振るい、メンバーを爬虫類のような目線でにらみつけるシーンは、鳥肌が立つほど恐ろしい。

なお、若松は、本作の制作にあたり、自宅を抵当に入れて資金をまかなったともいわれ、本作を「自身の集大成」と位置付けている。名匠の渾身の一作を全身で受け止めたい。

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