「こんな未来は絶対にイヤだ…」絶望感に浸れる日本のディストピアSF映画5選。最悪の未来を舞台にした問題作をセレクト
text by 編集部
ChatGPTをはじめ、近年目覚ましい進化を遂げているAI(人工知能)。2023年3月には、イーロン・マスクらがAI開発の停止を要請し話題になった。かつてSF映画で見たようなディストピアは、もしかしたら近くまで来ているのかもしれない。今回は、現代社会に警鐘を鳴らすディストピア作品5作を紹介する。
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絶対に抜け出せない町!?
気鋭のCMプランナーが手がけるディストピア・ミステリー
『人数の町』(2020)
監督 : 荒木伸二
キャスト : 中村倫也、石橋静河、立花恵理
【作品内容】
借金取りに追われ、暴行を受けていた主人公の蒼山は、黄色いツナギを着たヒゲ面の男に救われる。蒼山のことを“デュード”と呼ぶその男は、「お前に居場所を用意してやる」と告げた後、蒼山をとある町に案内される。そこは衣食住が保証され出入りは自由だが、決して離れることが許されない不思議な町だった。
【注目ポイント】
本作は、快楽をむさぼれる奇妙な町を舞台としたミステリー作品。監督は「タウンワーク」のCMやMVで名を馳せるCMプランナー・荒木伸二で、主演は『水曜日が消えた』(2022年)の中村倫也。なお、本作は「第1回木下グループ新人監督賞」で準グランプリに選ばれ、話題を呼んだ。
衣食住が満たされ、性的快楽も満たされる-。本作に登場する町は、ある人にとっては理想郷だろう。しかし主人公の蒼山は、この奇妙な町で出会った人々と交流を持つ中で、徐々に疑問を募らせていく。なぜこの街では欲望が肯定されるのか?そして、町の奥底に潜む秘密とは…?この謎に挑む蒼山の姿が、本作の一番の見どころだ。
ちなみに本作の後半では、この町がとある現実的なモチーフのメタファーになっていることが判明する。それが何かは、実際に観て考えてほしい。