「最も炎上した映画は?」世界から批判殺到の過激作(2)。「映画館を爆破する」テロ予告で上映中止…悪夢を見た洋画
映画は万人が楽しめる娯楽の王様である。一方、影響力が強すぎるため、世間の規範から外れた作品に対しては、上映中止を求める抗議運動が吹き荒れたりする。今回は、タブーを踏み越えてしまったがために、世界各国で上映が禁止された問題作を紹介。露骨な性描写で物議を醸した作品から宗教上の理由でバッシングを受けた映画まで幅広くセレクト。(文・寺島武志)
「スーパー・ボウル」への爆破テロの脅威を描く
実際にテロ予告を受けて上映中止の憂き目に
『ブラックサンデー』(1977)
原題:Black Sunday
製作国:アメリカ
監督:ジョン・フランケンハイマー
脚本:アーネスト・レーマン、ケネス・ロス、アイヴァン・モファット
原作:トマス・ハリス
キャスト:ロバート・ショウ、ブルース・ダーン、マルト・ケラー、フリッツ・ウィーヴァー、スティーヴン・キーツ、クライド・クサツ
【作品内容】
ベトナム戦争で戦った男、マイケル・ランダー(ブルース・ダーン)が祖国に裏切られた復讐からアラブのテロリストと手を結んだテロ組織「黒い9月」はマイアミで開催される予定だったアメリカンフットボールの祭典「スーパー・ボウル」の観客8万人を殺害するというテロ計画を立てる。
イスラエルの特殊部隊のカバコフ少佐(ロバート・ショウ)は、そのアジトを急襲するが、その中にいた女性、ダリア・イヤッド(マルト・ケラー)を見逃す。しかし、その女こそがこのテロの実行者だった…。
【注目ポイント】
『羊たちの沈黙』などの代表作で知られるトマス・ハリスの原作によるサスペンスアクション作。飛行船を使ったテロという奇抜な発想とテロリストたちの背景など、リアリティーがあり、テロ兵器の作り方などディテールにもこだわって製作され、スリリングな展開に手に汗握る作品だ。
ところが日本では、劇場公開を前に、「上映すれば映画館を爆破する」との脅迫が相次ぎ、公開8日前に、東宝の判断で上映中止となった。
中東諸国の大使から「内容が偏向しているため、上映を中止して欲しい」と要望があったことが判明し、イスラエル・パレスチナにおける政治問題というセンシティブな内容を含んでいたため、中東諸国に忖度する形で、公開を断念したと思われる。
その後、2006年に特別試写会が開かれ、2011年には、日本で初めて正式に映画館で上映された。
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