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意外な展開と味わい深いラスト…。映画『波紋』は面白い? 新興宗教にハマった主婦の運命は…? 忖度なしガチレビュー

text by 寺島武志

映画『かもめ食堂』映画『めがね』で知られる荻上直子監督の最新作映画『波紋』が公開中だ。新興宗教、老老介護、貧困問題といった多様な社会的テーマを盛り込んだ、絶望エンタテインメント。そんな本作は面白い? つまらない? 忖度なしのガチレビューをお届けする。(文・寺島武志)

舞台は原発事故によるパニックに見舞われた2011年の東京

©2022 映画波紋フィルムパートナーズ

この作品を鑑賞するにあたって、「新興宗教にハマった中年女性の物語」と知り、昨年の元首相銃撃事件をきっかけに、その悪辣な手口で信者から財産を巻き上げる“あの宗教団体”を想起させる、家族の崩壊を描いた悲惨なストーリーなのだろうと想像していた。

しかし、その浅い読みは、良い意味で見事に裏切られた。

物語は東日本大震災と、それに伴う原発事故が起きた2011年にさかのぼる。主人公の須藤依子(筒井真理子)は、夫・修(光石研)と高校生の息子・拓哉(磯村勇斗)、そして介護が必要な修の父とともに暮らしている。

原発事故による放射能パニックが襲う東京で、依子は、料理や飲用に水道水は使わず、雨水にすらあたることを危険視する一方、義父の食事にはしれっと水道水を使用する。まるで“お前なんか生きてても仕方ないだろ”と言わんばかりに…。

そんな時、突然夫の修が蒸発してしまう。依子は、商品にイチャモンを付けて半額にするように迫るクレーマー客・門倉太郎(柄本明)が毎日にように訪れるスーパーのレジ打ちのパートをしながら、義父の介護と息子の子育てを独りでこなすことを強いられる。

ストレスまみれに生活の中、心を開き、グチを聞いてくれるのは、スーパーの清掃係・水木(木野花)だけだった。水木の誘いでプール通いを始める依子だが、ストレス発散には程遠い。

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