高橋一生が最高! 圧巻の存在感を放つおすすめ映画(1)。凄まじい”無言の芝居”、名優と濃厚な掛け合いに涙
子役から俳優の世界に身を投じ、現在、着実にその唯一無二の存在感を日本映画史に刻んでいる高橋一生。5月には、主演映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の公開も決定し、その破竹の勢いは止まらない。そんな、高橋がこれまで出演し、名演を残してきた作品を5本、紹介していきたい。(文・ZAKKY)
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名優・寺尾聡との濃厚な掛け合いに胸が詰まる…。
高橋一生の“無言の芝居”に注目
『半落ち』(2004)
監督:佐々部清
脚本:田部俊行、佐々部清
原作:横山秀夫
出演者:寺尾聰、原田美枝子、吉岡秀隆、鶴田真由、伊原剛志、高島礼子、樹木希林、西田敏行、柴田恭兵、高橋一生
【作品内容】
元刑事で警察学校教官の梶(寺尾聰)が、アルツハイマー病である妻(原田美枝子)を殺したと、警察に自首してきた。県警刑事部の志木(柴田恭兵)が取り調べに当たるが、梶は妻殺害後2日間の行動については固く口を閉ざしていた。
【注目ポイント】
主人公・梶は、白血病で亡くなった息子がいる過去を持つことから、骨髄移植のドナー登録をしていた。その臓器移植を受けた青年・池上役を当時、23歳の高橋一生が演じている。物語の鍵を握る重要な役回りであり、当時まだ無名ではあったが、子役から培ってきたさすがの演技力が光る。
梶の妻は生前、池上のことを「もう一人の息子」であると感じ、会いたいと願うのだが、ルールとして、ドナー提供者とその身内は、臓器移植の受給者に会ってはいけない。
その後、梶はアルツハイマーに罹患した妻の想いを胸に、池上に会いに行く。梶と池上の対話シーンは物語のクライマックスと呼ぶにふさわしい。両者の複雑な感情が入り混じる、緊張感あふれるシーンだが、名優・寺尾聡に一歩も引けを取らない、若き高橋一生の静かな名演にとにかく心を揺さぶられる。
その後、物語は感動のラストシーンに突入する。柴田恭兵演じる刑事の志木の計らいによって、妻殺しの罪で護送される梶は、車窓越しに池上と再会する。このシーンで高橋一生は一切声を発することはない。しかし、その表情は確実に「生きるのを諦めないでください」と伝えており、観る者は彼の無言の芝居の素晴らしさに鳥肌を立てるだろう。
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