史上最高のTVドラマ劇場版は? 大成功の日本映画(5)。ドラマ映画の最高傑作! 社会現象を生んだ金字塔
テレビドラマが映画化されるというと、やはりドラマ版よりも壮大な映像や物語のスケール、迫力が楽しめるのは魅力だろう。近頃は特にテレビドラマから映画作品を作る傾向が増えており、なかにはドラマは不人気なのに映画化を決行するパターンもあるようだ。今回は、そんなテレビドラマの映画化作品のうち、特に成功したといえる傑作を5本セレクトした。
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「警察ドラマ」を描いた織田裕二の代表作
『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!』(1998)
監督:本広克行
脚本:君塚良一
キャスト:織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、水野美紀、ユースケ・サンタマリア、小泉今日子、いかりや長介
テレビドラマ版:『踊る大捜査線』1997/1/7~3/18(火曜21:00~)
製作局:フジテレビ
【あらすじ】
湾岸署の管轄外の管轄内にある川で、腹部にテディベアのぬいぐるみを縫合跡された水死体が発見されるという猟奇的殺人事件が発生。さらに、署内での窃盗事件や無差別テロ事件が相次いで勃発する。難航した事件は公開捜査へと発展し、湾岸署に特別捜査本部が設置されることに。刑事の青島俊作(織田裕二)と和久平八郎(いかりや長介)は単独捜査を開始するが、彼らには凶悪犯の影が忍び寄っていた…。
【注目ポイント】
テレビドラマの映画化の成功例として真っ先に挙げられる本作ではあるが、決してテレビドラマ版の視聴率が特段に良かったわけではない。実際、平均視聴率は18.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。しかしながら、回を重ねる毎に話題を集め、尻上がりに視聴率が上がり、最終回で20%を超えたことで、映画化が決定した。
いわゆる従来の「刑事ドラマ」とは一線を画し、派手なカースタントやガンアクションではなく、警察という「組織」にフォーカスし、人間模様や階級社会、縦割り組織の中で生きるサラリーマンとしての姿を描いた「警察ドラマ」といった趣が強い作品だ。
主演の織田裕二は、1991年に放送されたメガヒットドラマ『東京ラブストーリー』のカンチ役のイメージから抜け出せずにいたが、脱サラして警察官となった元営業マンの刑事・青島俊作を演じ、刑事課において理想と現実の乖離に悩みながらも成長していく役柄がハマり、そのファッションも注目されるほどの人気を誇った。
織田自身が歌った主題歌「Love Somebody」もヒットし、本作は現在に至るまで、織田裕二の代表作といえるだろう。
その舞台となる警視庁湾岸署は、2008年、フジテレビ近くの臨海副都心地域に「東京湾岸警察署」として現実に発足。警視庁はドラマとの関連を否定しているものの、ファンの間では“聖地”となっている。
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