「ふざけるな」悪夢の映画化…原作者激怒と噂の日本映画(4)「観ない」ツイートで大騒動…巨額ヒットも作者悲痛
昨今のヒット映画のほとんどは原作モノであると言っても過言ではない。原作の知名度があることで企画が通りやすく、集客が見込めることなど、大人の事情が絡んでいるからだ。しかし原作を使用することは、ファンや原作者の意向も気にしなくてはならない。今回は様々な事情で原作者の怒りを買ってしまったと噂のある映画を紹介する。
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原作者がTwitterで「観ない」と発言
一風変わった“泣ける恋愛映画”
『orange オレンジ』(2015)
原作:高野苺
監督:橋本光二郎
キャスト:土屋太鳳、山崎賢人、竜星涼、山崎紘菜、桜田通
【作品内容】
高校2年生の高宮菜穂(土屋太鳳)は、ある日、10年後の自分からの手紙を受け取る。手紙には、転校生の成瀬翔(山崎賢人)と恋に落ち、彼と死別することが予言されている。初めは半信半疑であった菜穂だが、手紙の内容が相次いで現実化したことで態度を改める。そして、翔を死から救うために奔走するのだが…。
【注目ポイント】
原作は2012年に「別冊マーガレット」で連載された高野苺の漫画『orange』。「クラスメイトを自殺で亡くし、後悔の念に苛まれる未来の自分から手紙を受け取る」というSFとミステリーを混ぜ合わせたような特異な設定と、思春期の心のゆらめきをすくい取る繊細な描写で話題を集めた。世界9か国で翻訳出版されるなど、世界中に根強いファンを持つ名作コミックだ。
そんな名作を、当時売り出し中であった土屋太鳳、山崎賢人ほかフレッシュなキャストで実写化したのが本作。一風変わった、“泣ける恋愛映画”として若年層を中心に支持を集め、興行収入30億円を超えるスマッシュヒット。さぞかし関係者は皆ニッコリ、かと思いきや、原作者の高野氏だけは異なる心情を抱いていたようだ。
同作の完成披露試写会が行われる前日、高野氏はTwitterで、「実写映画ですが、私は観ないことにしました」と投稿。その後、Twitterのアカウントを削除する事態に。とはいえ、件の投稿の後には、映画に出演するキャストを労い、賛美する投稿もしており、漫画『orange オレンジ』の実写映画化に対する複雑な感情がうかがい知れる。
アーティストにとって自作は商品であると同時に、自身の子供にも比すべきかけがえのない存在である。原作を愛する読者が実写映画化に対して抱く抵抗感とは異なるレベルで、作者自身に違和の感情が生じるのは十分に理解できる。
上記の違和感は、作品の出来、不出来に関係なく生じるものだ。その点を踏まえると、作者が言うとおり、漫画『orange』と映画『orange オレンジ』は別物として鑑賞するのが正しい態度なのかもしれない。
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