なぜ爆死? 映画『ザ・フラッシュ』の敗因とDCユニバース混乱の歴史を徹底考察。超面白いのに客入りがイマイチな根本原因は?
text by 灸 怜太
DCはマーベルと並ぶ、ヒーロー映画の最大手だが、その最新作『ザ・フラッシュ』の興行収入が伸び悩んでいる。初週の国内興収ランキングはまさかの4位。国内におけるヒットの指標とされる10億円に届くかどうかさえ微妙だ。なぜ本作はコケたのか。理由を深掘り分析する。(文・灸 怜太)【あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー】
内容は素晴らしい…。しかしアメリカでもあえなく爆死
主演俳優のスキャンダルが足かせに
“超速タイムループアドベンチャー”として満を持して公開された『ザ・フラッシュ』。ヒーロー映画としてのフレームを保ちつつ、超絶高速アクションとエモーショナルなドラマ、そしてクスっと笑える青春コメディ要素までブチ込んで絶妙なバランスで仕上がっており、「DC映画のひとつの到達点」との呼び声も高いが、興行成績的にはいまひとつの結果となってしまった。
公開時期が重なった『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』との首位争いにも遅れをとってしまい、作品評価以前にそもそも映画館に観客を呼び込めなかったことが露呈したようだ。
DCコミックスが生み出した、高速で移動する能力を持つ「フラッシュ」は歴史も人気もあるキャラクター。これまで何度も実写化されているが、単独主演の映画はファンからも待望されており、それがようやく実現したという経緯がある。
しかし、アメリカ公開でもコケてしまった。この原因には、主演のエズラ・ミラーのスキャンダルがあるとされている。
以前から素行が悪かったが、2022年に暴行や強盗容疑で逮捕されるなどの事件が頻発。その影響で『ザ・フラッシュ』の宣伝プロモーションにも制限がかかり、ヒットに結びつけることができなかったという。
日本ではエズラ・ミラーの知名度がそこまで高くなかったこともあり、このスキャンダルの影響は少なかったのだが、それでもコケてしまった。