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「そんなわけあるか!」ツッコミどころ満載のSF日本映画(2)。脚本崩壊…ずっこけネタ満載で爆死した珍作

text by 寺島武志

洋画に比べるとまだまだ充実度が低い印象のある日本のSF映画だが、努力のあとが見られる作品はある。しかし、あまりにもスケールが大きすぎたり設定が甘いと、観る側を困惑させてしまうのがSFの難しい点だ。今回は、そんな国内のSF映画のなかから、特にツッコミどころの多い作品を5本セレクトした。(文・寺島武志)

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ずっこけたくなるエピソードが満載
再評価著しい和製SF映画の珍作

『さよならジュピター』(1984)


出典:Amazon

上映時間:129分
監督:小松左京
脚本:小松左京
キャスト:三浦友和、小野みゆき、岡田眞澄、森繁久彌、平田昭彦、ディアンヌ・ダンジェリー、レイチェル・ヒューゲット

【作品内容】

時は2125年。地球には180億人もの人間が住み、宇宙にも5億人の人間が住んでいる時代。宇宙で5億もの人間が生活するためには、エネルギー源確保に問題があった。そこで、木星を太陽化するという「JS計画」が進められていた。このJS計画の主任を務めるのが本田英二(三浦友和)だ。

ある時、英二とJS計画の科学主任のカルロス・アンヘレス(マーク・パンソナ)が支援者に計画の説明をしていたが、その中には、自然と共生することを目指す「ジュピター教団」が紛れていた。

ジュピター教団は、JS計画を止めるため抗議を始め、暴れて宇宙船の機器を破壊していく。警備員が駆けつけジュピター教団を捕まえると、その中にはかつて英二が愛したマリア(ディアンヌ・ダンジェリー)も交じっていた…。

【注目ポイント】

俳優の三浦友和
主演を務めた三浦友和第27回東京国際映画祭よりGetty Images

『日本沈没』(1973)、『首都消失』(1987)など、未来を予見するような作風で知られる、SF小説の大家・小松左京。本作は、小松自ら新会社を設立した上で原作小説を執筆し、総監督・脚本も務めたSF超大作だ。

天才・小松左京が本腰を入れて映画製作に乗り出した本作は、公開前から話題を集めた。しかし、蓋を開けてみれば酷評の嵐に晒され、興行収入も不調に終わり、小松は大借金を背負ったといわれている。

肝心の映画の内容といえば、話のスケールだけが肥大し、129分という比較的長尺でありながら、伏線も回収しきれておらず、中途半端な印象を残す。しかも、本格SF映画にも関わらず、恋愛要素やコメディー要素も盛り込まれており、蛇足と言う言葉しか思い浮かばないベッドシーンまで登場。脈絡のないストーリー展開に困惑する観客が続出した。

ツッコミどころはまだまだある。宇宙全体を舞台としているにも関わらず、元カノが計画を阻止する教団を騙った“テロ組織”に属しているといった人間関係の狭さ。テロリスト集団が易々と宇宙船に乗り込めるセキュリティーの甘さ。

登場人物が日本語、英語、フランス語、ドイツ語とさまざまな言語で話し、鑑賞者を混乱させる点、地球人の命を預かるはずの宇宙連邦大統領に任命されるのは、なぜか日本人の老紳士…。と、ずっこけたくなるネタのオンパレード。およそ大人が楽しめる作品とは思えないキャラクター設定とストーリー展開だ。

しかしながら、本作には、当時最先端のCGがふんだんに使用されており、その後のSF作品や、後続世代のSF作家に大きな影響を与えたともいわれている。また、突飛なストーリー展開はなんともシュールで、観ているうちに味が出てくる。一部で再評価の声が挙がっているのもうなづける珍品だ。

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