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大爆死の邦画は? 2023年上半期の大コケ日本映画(5)。もう見飽きた…陳腐で欠陥だらけの怖くない村ホラー

text by 寺島武志

2023年も残すところあと半年を切った。今年に入って何本の映画を観ただろうか? 日本映画は是枝裕和監督の『怪物』や北野武監督『首』などがカンヌ国際映画祭で招待されたりと話題作が目白押しであった一方、期待に反して目覚ましい興行成績を残せなかった作品も。今回は、2023年上半期でイマイチな数字に終わった映画を5本セレクトした。(文・寺島武志)

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「もう見飽きたよ…」
一世を風靡した“村ホラーブーム”も終焉へ

『忌怪島/きかいじま』(6月16日公開)

女優の生駒里奈
女優の生駒里奈Getty Images

上映時間:109 分
監督:清水崇
脚本:いながききよたか、清水崇
キャスト:西畑大吾(なにわ男子)、生駒里奈、平岡祐太、水石亜飛夢、川添野愛、大場泰正、祷キララ、吉田妙子、大谷凜香、笹野高史、當真あみ、金城リン、なだぎ武、伊藤歩、山本美月

【作品内容】

主演の脳科学者・片岡友彦を演じるのは、人気アイドルグループ・なにわ男子のメンバー、西畑大吾。

片岡とVR研究チーム「シンセカイ」は、シャーマン(霊能力者)が棲む「忌怪島」を訪れる。しかし、システムエラーや赤いバグが突如出現するようになり、異世界と現実世界が交わっていく。

さらに、メンバーが不可解な死を遂げるなど謎が次々と襲いかかる。加えて、現実世界と仮想世界という2つの空間で起こる怪奇現象に巻き込まれていくというストーリーだ。片岡や「シンセカイ」のメンバーたちは、生死を懸け、呪われた島に隠された謎に挑んでいくのだが…。

【注目ポイント】

『犬鳴村』(2020)、『樹海村』(2021)、『牛首村』(2022)の「実録!恐怖の村シリーズ」3部作などの代表作を持つジャパニーズホラーの第一人者・清水崇監督が、閉ざされた“恐怖の島”を描いている。

“恐怖の村3部作”でもそうだったが、清水監督のストーリー展開や怖がらせ方には明確なパターンがある。『犬鳴村』こそ興行収入14億円を記録したが、その後の『樹海村』は6.8億円、『牛首村』は5.6億円程度と尻すぼみに終わっている。本作も、動員ランキングでは上映2週目にして、圏外に落ちるなど出足が悪く、今をときめく役者を揃えたにもかかわらず、興行収入は5億円に届かないのではないかという予測がなされている。

なお、“ジャニーズファン目当てのキャスティング”ともいわれた西畑は、その声をはねのける素晴らしい演技を見せ、ファン以外からもおおむね高評価を得ている。とはいえ、本作をホラー映画として観た場合、決定的な欠陥がある。

要するに「怖くない」のだ。浅いキャラクター設定と陳腐ともいえる描写は、「恐怖の村3部作」を見た鑑賞者にとっては既視感しかない。

また、「ミラーニューロン」や「ボディシェアリング」などといった難解な横文字が度々登場し、それも説明不足であるため、混乱を招いている。結果、結末の意味もよく分からない作品になってしまっている。

メタバース技術が発達したことによって、仮想空間にいるのか現実にいるのかわからない恐怖を描くというコンセプトは斬新だっただけに、ホラー映画としての“中途半端さが際立つ。

『犬鳴村』のヒットによって巻き起こった日本の“村ホラーブーム”だが、舞台を“島”に移しても、衰退に歯止めをかけることはできなかった。

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