ホーム » 投稿 » 海外映画 » 劇場公開作品 » ジャック・ロジエ監督特集上映『みんなのジャック・ロジエ』加瀬亮らコメント到着! ポスター、イラスト、イベント情報も解禁!

ジャック・ロジエ監督特集上映『みんなのジャック・ロジエ』加瀬亮らコメント到着! ポスター、イラスト、イベント情報も解禁!

text by 編集部

パリの街並み、地中海の陽光…。輝く季節を軽やかに大胆に切り取るジャック・ロジエ。今回は、劇場初公開となる長篇を含む、4作品の上映が決定した。併せてポスタービジュアル、SNSで話題のマンガ家”しばひろ”によるイラスト、カヒミ カリィ、加瀬亮ら各界の著名人のコメントも解禁される。公開中のイベント情報も見逃せない。

無秩序…だけど愛おしいジャック・ロジエ監督作品

今回の特集上映では、ジャック・ロジエ監督の長篇劇映画全5作品のうちデジタル・レストアされた4作品【パリとコルシカ島へ夏のヴァカンス『アデュー・フィリピーヌ』、カリブ海へ冒険ヴァカンス『トルテュ島の遭難者たち』、大西洋の島へ冬の小さなヴァカンス『メーヌ・オセアン』、ヴァカンスから演劇へ『フィフィ・マルタンガル』】、そして短篇2作品【ゴダール『軽蔑』の撮影を取材した2作品 『パパラッツィ』『バルドー/ゴダール』】を上映する。

中でも、長篇『トルテュ島の遭難者たち』と『フィフィ・マルタンガル』は劇場初公開となる。

今回は、長篇4作品の『アデュー・フィリピーヌ』、『トルテュ島の遭難者たち』、『メーヌ・オセアン』、『フィフィ・マルタンガル』
の特別版ポスターが解禁!

『アデュー・フィリピーヌ』
© 1961 Jacques Rozier
『トルテュ島の遭難者たち』
© 1974 Jacques Rozier
『フィフィ・マルタンガル』
© 1997 Jacques Rozier
『メーヌ・オセアン』
© 1986 Jacques Rozier

本ビジュアルは、特集上映作品を2作鑑賞で『アデュー・フィリピーヌ』のポストカード、3作鑑賞で『トルテュ島の遭難者たち』のポストカード、4作鑑賞で『メーヌ・オセアン』と『フィフィ・マルタンガル』のポストカードとしてプレゼントも。

また、フランス人ガイックとの暮らしをほのぼのした絵で綴りSNSで話題のマンガ家”しばひろ”から様々なヴァカンスの世界を描くジャ
ック・ロジエをイメージしたイラストが到着。

『みんなのジャック・ロジエ』
© 特集上映みんなのジャックロジエ All Rights Reserved

さらに、カヒミ カリィ、加瀬亮をはじめとする各界の著名人からコメントも!

そして公開中のイベントの開催も決定した。

【イベント】

会場:東京都 ユーロスペース
7月29日(土)16:30『アデュー・フィリピーヌ』上映後 ゲスト:須藤健太郎(映画批評家)
7月30日(日)16:40『メーヌ・オセアン』上映後 ゲスト:伊藤洋司(中央大学教授)
8月5日(土)13:50『メーヌ・オセアン』上映後 ゲスト:大久保清朗 (山形大学人文社会科学部准教授)
8月11日(金・祝)13:50『フィフィ・マルタンガル』上映後 ゲスト:角井誠(映画研究、早稲田大学文学学術院准教授)
8月12日(土)16:30『アデュー・フィリピーヌ』上映後 ゲスト:ギヨーム・ブラック(映画監督 ※オンライン登壇)、坂本安美(アンスティチュ・フランセ映画主任/映画批評)
8月19日(土)13:50『トルテュ島の遭難者たち』上映後 ゲスト:葛生賢(映画作家・映画批評家)

【ジャック・ロジエ 監督プロフィール】

ジャック・ロジエ
ジャックロジエ© 特集上映みんなのジャックロジエ All Rights Reserved

ジャック・ロジエ/Jacques Rozier

1926年11月10日パリ―2023年6月2日テウル=シュル=メール。享年96歳。

高等映画学院(IDHEC)卒業。ジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』の撮影に実習生として参加。その後テレビ局で働きながら、初監督作となる短篇『新学期』(1955)を製作。

1958年、トゥール短篇映画祭で上映された短篇第二作『ブルー・ジーンズ』がゴダールに絶賛され、ロジエはゴダールと親交を結ぶことになる。
1960年、ゴダールからプロデューサーを紹介され、長篇第一作『アデュー・フィリピーヌ』の撮影を開始。同作は1962年、カンヌ映画祭・国際批評家週間に選出される。

続く長篇第二作『オルエットの方へ』(1971、カンヌ映画祭・監督週間で上映)と長篇第三作『トルテュ島の遭難者たち』(1976)では、ロジエ作品の特徴となる夏のヴァカンスを描く。

1986年、冬の週末の出会いをコミカルに描いた長篇第四作『メーヌ・オセアン』(1985)でジャン・ヴィゴ賞を受賞。2001年、長篇第五作であり最後の作品となってしまった『フィフィ・マルタンガル』をヴェネチア映画祭に出品。同年パリのポンピドゥー・センターではテレビ作品を含めた大規模なレトロスペクティヴが開催された。

【著名人によるコメント】

日常の何気ない瞬間こそが人生の中で一番恋しく切なくそして美しいのだと、ジャック・ロジエの映画を観るたびに思い、彼独特の波に惹き込まれてしまう。 目線は鋭くも、ゴダールやトリュフォーにはない緩やかな波。
—カヒミ カリィ(アーティスト)

みんなそれぞれ自分自身の旅だ。そうだからこそ他人との出会いは奇妙で面白い。
後半、ブラジル人女性デジャニラが見上げた飛行機雲の空は、子供の頃から自分も何度も見た空のようでした。
—加瀬亮『メーヌ・オセアン』

無難なパック旅行と性懲りない痴話喧嘩の風刺劇か。と思いきや『トルテュ島の遭難者たち』は航路変更や立ち往生を重ね、軽率も酔狂も消沈も逸楽もラム酒樽に注ぎこんで映画の宴に供するような、ファルス(笑劇)の肯定感にはちきれる。場違いなパリジェンヌがお転婆娘に変貌し、無謀なヴァカンスを風まかせに旋回する愉しさ!
—後藤岳史(映画ライター、編集者)『トルテュ島の遭難者たち』

ロジエの映画を見るたび、物語を逸脱した空騒ぎにいつも笑いが止まらなくなる。けれど、永遠に続くと思った幸福な時間は唐突に終わりを告げ、私たちを呆然とさせる。その過激さこそ、ジャック・ロジエだ。
—月永理絵(ライター、編集者)

ロジエの映画は私たちをほんものの旅へと連れていってくれます。しかしご注意を! ガイドブックも予定表もないその旅では既成の社会秩序、階級、立場はまったく意味をなさず、出会いが別の出会いをよび、知り合うことも、言葉を交わすことも、愛し合うことも運命づけられていなかった人々が、その無秩序なユートピアの中をさまようことに……。そして空っぽな時間(ルビ:ヴァカンス)はいつの間にかさまざまな色彩や音楽、感情で溢れていくでしょう。真のヴァカンスにようこそ!
—坂本安美(アンスティチュ・フランセ映画主任/映画批評)

運命のいたずらのような出会いが、笑って泣いて歌い踊り恋をして恋が終わる、予測不能な旅への片道切符。ジャック・ロジエの映画を観ることは、個人的でささやかな宝の小箱を眺めることに似ている。
—松丸千枝(『装苑』編集者)

どの映画も、ラストシーンを見ているとなぜか、それまでのすべて、終わりそうで終わらないようにも感じたぐだぐだでデタラメな時間もすべて、たまらなく愛おしくなります。特に『メーヌ・オセアン』! ジャック・ロジエが描く別れや終わりをみた後は、どんな出会いもひとまず祝福してみたくなる。
—三宅 唱

ジャック・ロジエの映画は23年も前から私と共にありました。私はこの日、ほんの僅かなことから映画を作ることができ、そしてこの僅かなことを十分に信じてさえいれば、とても大きなものにできることを理解しました。何よりもまず、私たちはロジエの子供のような視点を再発見し、どこに誘うのかわからない冒険に出発し、予期せぬことや偶然の出来事もゲームのように受け入れ、笑って、たくさん笑って、驚嘆しなければならないのです。どの作品も、まるで初めて作る作品のように、そしてこれが最後の作品になるかのように取り組む。 思い出になる前に、今を映し取る。ジャック・ロジエの映画は、常に同じ方向――危険、不確かなもの、自由――を指している不思議な羅針盤のようなものなのです。
—ギヨーム・ブラック(映画監督)

ジャック・ロジエ監督の特集上映『みんなのジャック・ロジエ』
2023年7月29日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

特集上映『みんなのジャック・ロジエ』作品詳細

【長篇作品】

■『アデュー・フィリピーヌ』 ……パリとコルシカ島。夏のヴァカンス。(2Kレストア)
1962 年/フランス=イタリア合作/フランス語/モノクロ/110 分/1.66 :1/原題:Adieu Philippine/日本語字幕 :寺尾次郎
出演:ジャン=クロード・エミニ(ミシェル・ランベール)、イヴリーヌ・セリ(リリアーヌ)、ステファニア・サバティーニ(ジュリエット)、ヴィットリオ・カプリオーリ(パシャラ)
© 1961 Jacques Rozier

■『トルテュ島の遭難者たち』 ……カリブ海へ。冒険ヴァカンス。(4Kレストア) ★劇場初公開★
1976 年/フランス/フランス語/カラー/146 分/1.66 :1/原題:Les Naufragés de l’île de la Tortue/日本語字幕 :高部義之
出演:ピエール・リシャール(ジャン=アルチュール・ボナヴァンチュール)、モーリス・リッシュ(太っちょノノ)、ジャック・ヴィルレ(プティ・ノノ)、キャロリーヌ・カルティエ(広報アシスタント)、アラン・サルド(支店長)、ジャン=フランソワ・バルメール(ノッティンガム)、ナナ・ヴァスコンセロス(ミュージシャン)、パトリック・シェネ、ピエール・バルー
© 1974 Jacques Rozier

■『メーヌ・オセアン』 ……大西洋の島へ。冬の小さなヴァカンス。 (4Kレストア)
1985 年/フランス/フランス語、ポルトガル語、スペイン語、英語/カラー/136 分/1.66 :1/原題:Maine Océan/日本語字幕 :寺尾次郎
出演:ベルナール・メネズ(検札長)、ルイス・レゴ(検札係)、イヴ・アフォンソ(プチガ)、リディア・フェルド(女弁護士)、ロザ=マリア・ゴメス(デジャニラ)、ペドロ・アルメンダリス・ Jr(興行主)、マイク・マーシャル(森の中の弁護士)、ベルナール・デュメーヌ(裁判長)、ジャン=ポール・ボネール(検察官)
© 1986 Jacques Rozier

■『フィフィ・マルタンガル』 ……ヴァカンスから演劇へ。 (デジタル・レストア) ★劇場初公開★
2001 年/フランス/フランス語/カラー/120 分/1.85 :1/原題 :Fifi Martingale/日本語字幕 :高部義之
出演:ジャン・ルフェーブル、イヴ・アフォンソ、リディア・フェルド、マイク・マーシャル、ルイス・レゴ、フランソワ・シャト、ジャック・プティジャン、ロジェ・トラップ、ジャック・フランソワ、アレクサンドラ・スチュワルト、ジャン=ポール・ボネール
© 1997 Jacques Rozier

【短篇作品】

……ゴダール『軽蔑』の撮影を取材した2作品

■『バルドー/ゴダール』(2Kレストア)
1963 年/フランス/10 分/モノクロ/1:1.37/原題:Le Parti des choses : Bardot / Godard/日本語字幕 :寺尾次郎
© 1963 Jacques Rozier

■『パパラッツィ』(2Kレストア)
1963 年/フランス/20 分/モノクロ/1:1.37/原題:Paparazzi/日本語字幕 :寺尾次郎、追加訳:高部義之
© 1963 Jacques Rozier

配給:エタンチェ / ユーロスペース
公式HP

【関連記事】
「モヤモヤと困惑、そして圧倒されたのは…?」宮崎駿『君たちはどう生きるか』速報レビュー。その物語とは? 徹底考察
映画「気狂いピエロ」なぜゴダールは天才なのか? 巨匠・ゴダール入門に最適な初期代表作<あらすじ 考察 解説 評価>
映画「アメリカの夜」ヌーヴェルヴァーグの天才によるフランス映画 珠玉の音楽を手がけたのは?<あらすじ 考察 レビュー>

error: Content is protected !!