「最も重要な作家のひとり」アレ・アブレウ監督最新作『ペルリンプスと秘密の森』特報& ティザーポスター・場面写真解禁
『父を探して』で、第88回アカデミー賞⻑編アニメーション賞にノミネート。アニメーションの新潮流“イベロアメリカ”の最も重要な作家のひとりとされるアレ・アブレウ監督の最新作『ペルリンプスと秘密の森』が12月より公開される。この度、特報、ティザーポスター及びシーン写真5点が解禁された。
めくるめく色の洪水に息をのむ
テクノロジーを駆使する太陽の王国のクラエと自然との結びつきを大切にする月の王国ブルーオの二人の秘密エージェントは、巨人によってその存在を脅かされる魔法の森に派遣されている。森を守る唯一の方法は、光という形でこの森に入り込んだ「ペルリンプス」を見つけること。敵対していた二人は共通する目的のために協力し合うことにする。しかし平和をもたらすという謎の生物を探すうちに、物語は思いがけない結末にたどり着く。そこに隠された現代への問いかけとは?
特報は、それぞれ正反対の世界から魔法の森にやってきた2人が森を救うといわれる謎の存在〈ペルリンプス〉の手がかりを探し、大冒険を繰り広げる様子を捉えたもの。当初は反発していた2人が、共通の目的のために結束、やがて音と光に導かれ、カマドムシクイのジョアンという鳥の姿をした老人のもとに辿り着くー。
めくるめく色の洪水のような色彩表現も本映像の魅力のひとつ。監督が本作の色彩表現についてパウル・クレーの「本当は、色が私たちを支配しているのであって、その逆ではない」という言葉をひくように、本作独自のカラーパレットから生み出された独自の色彩が、思わず息をのむような美しい映像美とともに堪能できる映像となっている。
ティザーポスターは、冒険の中、クラエとブルーオがカマドムシクイのジョアンと3人で、ともに美しい夜空を見上げる様子を切り取ったもの。「ひとりぼっちじゃないって素敵なこと」―添えられたコピーが、異なったものたち同士が少しずつ歩み寄り、わかり合っていくことの美しさを伝えるようなビジュアルとなっている。
シーン写真5点はいずれも魔法の森での様子を捉えたもの。「まずは紙の上で、次にコンピューター上で実験を重ね最も意味のある色の組み合わせを生み出した」と監督が明かす、まるで水彩画で描かれた絵画のような色彩の世界が体感できるものとなっている。
陽気で軽やかな音楽を担当したのはアンドレ・ホソイ。彼が率いるパーカッショングループ Barbatuques(バルバトゥッキス)は監督と書き下ろした主題歌「Daquiprá lá, de lá prá cá(pra Naná) 」(From here to there, from thereto here (for Naná))を担当。中国、ベネズエラ、コロンビアの楽器を使い、多様な音色で音でもカラフルで異なる要素が融合した強さを表現。カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルと並ぶムジカ・ポプラール・ブラジレイラの代表的ソングライター、ミルトン・ナシメントの「Bola de Meia, Bola de Gude」のインストルメント曲も映画の中核をなし心地よい没入感へと観客を誘う。
一人の少年の目を通して描く南米大陸の歴史と冒険の物語である映画『父を探して』で、2014年アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタルアワード(最高賞)&観客賞をW受賞、2016に新設されたアニー賞⻑編インディペンデント作品賞(のちに『ウルフウォーカー』や『未来のミライ』が受賞)を受賞したほか、2016年アカデミー賞⻑編アニメーション賞に南米の⻑編アニメ作品として初ノミネート!
彗星のごとく現れた新たな才能に世界が驚いた気鋭のブラジル人監督だ。
前作はダイアローグのない作品だったが本作では主人公が2人になったことで対話が生まれ、セリフが生まれた。異なる者同士が同じ目的のために違いを超えて手を組むとき、個人の才能を超えた大きな力が生まれ、仲間がいることへの安心感や幸せは、より良い未来のための一歩を踏み出すエネルギーとなっていく。
そしてアマゾンの保全が大きな課題であり責任でもあると感じているブラジル人監督の目には、やりきれない現実が映っているが、同時に「子どもの澄んだ目で見つめると光のような希望が見えてくる」と、本作について語っている。
【イベロアメリカとは?】
欧州及び中南米のスペイン語・ポルトガル語圏諸国から構成される地域のこと。この地域では、2000年代末から共同製作などアニメーション業界の関係強化に向けた取り組みが進んでいる。2018年にはアルゼンチンのアニメーション作家キリノ・クリスチャーニにちなんだキリノ・アワードが誕生し、受賞作がアカデミー賞やアヌシー国際映画祭などでノミネートや受賞をし始めている。世界から注目される作家も輩出するようになる中、その牽引役を担っているのがアレ・アブレウである。
【作品情報】
脚本・編集・監督:アレ・アブレウ(『父を探して』)
音楽:アンドレ・ホソイ/オ・グリーヴォ
2022年 ブラジル /原題:Perlimps/スコープサイズ/80分/日本語字幕 星加久実
後援:在日ブラジル大使館 配給:チャイルド・フィルム/ニューディア―
(c) Buriti Filmes, 2022
12月YEBISU GARDEN CINEMAほかロードショー
【関連記事】
ジブリ過去作からの引用はどこ? 宮崎駿が題名に込めた意味は? 映画『君たちはどう生きるか』徹底考察。賛否両論のワケとは?
原作とどこが違う? 王蟲の正体とは? 映画『風の谷のナウシカ』徹底考察。 意味深なラストの真相は? 珠玉の楽曲も解説
宮崎駿と鈴木敏夫が絶賛した声優とは? 映画『もののけ姫』徹底考察。ハンセン病とこだまの意味は? 舞台と壮絶な最後を解説