「究極の映画作り」クリストファー・ノーラン監督と、映画製作を共にした撮影監督が、ノーラン監督の撮影手法に迫る!
クリストファー・ノーラン監督の映画作品の製作を共に行ってきた、撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマ。今回彼は、米colliderのインタビューに応じ、ノーラン監督の撮影方法について話したようだ。早速、米colliderの内容を参考にその詳細を確認していく。
カメラ1台のみを使用した「究極の映画作り」
クリストファー・ノーラン監督が製作を務めた、映画『インターステラー』(2014)、『TENET テネット』(2020)、『ダンケルク』(2017)など、人気作品の製作を共に行ってきた、撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマ。彼は、IMAXカメラを使用し、俳優キリアン・マーフィーを間近で撮影。映画『オッペンハイマー』のクオリティを高めた張本人だ。
そんな撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマが、米Colliderのインタビューで、ノーラン監督の映画撮影方法を語った。
その内容では、『グラディエーター』(2000)や、『ハウス・オブ・グッチ』(2021)などの製作を務めた、リドリー・スコット監督は、1シーンを撮影するのに、6、7台ものカメラを様々なアングルで使用するのが好みとのこと。
この方法により、スコット監督は、伝えたいストーリーに対して、適切なアングルを発見するのだという。しかしノーラン監督の場合、シーンをより綿密にするため、1台のカメラだけを使用する。ノーラン監督は、複数のカメラで同時に撮影することは、観客の注意をそらし、集中力が散漫になると考えているようだ。
ホイテマは「ほとんどの時間、セットでは1台のカメラで作業する。クリスとの撮影は、実質的にワン・カメラ・ショーのようなものだ」と言い、さらに続けて「撮影現場に2台のカメラを置くと、その注意はいつの間にか分断される。撮影現場でクリスと一緒にいることは、特定の目標に向かって作業する、極めて集中力の高い作業となる」と述べた。
ホイテマは、ノーラン監督は観客が見るものを自身で体験するため、常にカメラの近くにいることを好むと明かした。よって、彼がシーンを構築すると舞台劇のような雰囲気になるという。また、ノーラン監督の手法を「究極の映画作り」と表現する。彼は以下のようにも話した。
「クリスはまた、カメラが捉えているものを理解するために、カメラのすぐ近くに座るのが好きな人なんだ。非常に綿密で、集中した作業だ」
「プロダクション・デザイナー、小道具係、セット・ドレッサー、そして私たち撮影部など、全てがひとつの方向に向かって、進化していく必要があるので、カメラ1つでの撮影は、私たちにとって非常に論理的に感じられるはず。僕らにとっては究極の映画制作方法です。とても集中している感じがする」
映画『オッペンハイマー』は、7月21日に全米公開を迎えた。日本での公開は未定となっている。
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