「イタすぎる女たち…」”こじらせ女子”の恋愛日本映画(1)。セフレに一途…都合のいい女が共感集める屈指の名作
恋愛映画には、運命の出会いやドロドロの三角関係などを描いた様々な作品がある。映画でしか味わえない展開も捨てがたいが、実際に自分が経験したことがありそうなリアルな内容は共感を生む。今回はリアルすぎて共感性羞恥を味わえる作品を5本紹介。比較的女性目線が多い恋愛映画だが、今回紹介する作品の中には、男性目線の作品もあり必見!
——————————-
登場人物みんなの恋がうまくいかない…。
主人公はセフレを一途に想い続ける都合のいい女
『愛がなんだ』(2019)
原作:角田光代
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、穂志もえか、中島歩、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ
【作品内容】
28歳のOLテルコ(岸井ゆきの)はマモル(成田凌)に一目惚れしてから、テルコの生活はマモル中心となった。しかし、マモルにとってテルコは単なる都合のいい女でしかない。そしてある日を境に、マモルからの連絡が突然途絶えてしまう…。
直木賞作家・角田光代の同名恋愛小説を、『知らない、ふたり』やNETFLIX映画『ちひろさん』の今泉力哉監督が映画化。主演は『神は見返りを求める』の岸井ゆきのと『キセキ あの日のソビト』の成田凌。
【注目ポイント】
主人公のテルコは、連絡が来るとすぐに駆け付け、自分が必要とされていると感じて世話を焼いてしまういわゆる“都合のいい女”。体だけの関係でも、友人から冷ややかな目で見られても、テルコにとっては今が幸せと感じている。
実際、周りが止めるような相手にどんどんのめり込むような恋愛を経験した女性は少なくないだろう。ひたむきなテルコは観ていて痛々しいが、女性であれば共感できる部分もあり、観ていて胸が締めつけられる。
マモルを演じる成田稜もまた「女性を沼らせる男性」を上手く演じている。マモルは一見優しそうに見えるが、自分勝手で無責任。
テルコが泣いている所を観て、「超ウケんだけど」と冷ややかな目で見たり、夜中に女性一人を置き去りにしたりしてしまう最低な男だ。それでもテルコを呼びつけては、恋人のように甘える。自分に自信がない女性がハマりそうな雰囲気が巧みに表現されている。
また、本作はテルコだけではなく皆が一方通行の恋愛をしているのが特徴だ。マモル自身も片思いしており、テルコ同様、自分に劣等感を抱いている。複数の登場人物のやりきれない切ない感情を巧みに描き分け、多くの共感を集めた、2010年代屈指の恋愛映画だ。
【関連記事】
「イタすぎる女たち…」”こじらせ女子”の恋愛日本映画(2)
「イタすぎる女たち…」”こじらせ女子”の恋愛日本映画(3)
「イタすぎる女たち…」”こじらせ女子”の恋愛日本映画(全作品紹介)