「最悪のジャンプ漫画実写化は…?」大失敗の実写映画(5)。脚本も崩壊…”俳優先行”と謎の改変で全て台無し
人気漫画を原作とする実写映画は数多いが、中には原作ファンから不評を買った、残念な作品も少なくない。もちろん、原作ファンを唸らせる作品を制作するのは簡単なことではない。そのハードルは高く困難である。しかし、そんな苦難を乗り切れなかった…いや!そもそも乗り越える気すらないのでは?と疑いをかけたくなる作品が多いのも、また事実。今回は『週刊少年ジャンプ』掲載作品に絞り、残念な実写化作品を5本紹介する。今回は第5回。(文・ZAKKY)
●ちぐはぐなキャスティング&脚本。謎の改変で感動のクライマックスが台無しに
『暗殺教室』(2015)
『暗殺教室 卒業編』(2016)
監督:羽住英一郎
原作:松井優征
脚本:金沢達也
キャスト
潮田渚:山田涼介
赤羽業:菅田将暉
茅野カエデ:山本舞香
【作品内容】
松井優征による人気コミックを、テレビディレクター出身の羽住英一郎監督が実写化。突然地球に現れたタコ型の生物が、とある学校の担任に就任。生徒たちは「殺せんせー」と呼ばれる謎の生物の暗殺を依頼されるが…。
【注目ポイント】
『約束のネバーランド』の実写映画版と同じく、俳優の実年齢が役柄の設定に対して、高すぎる。成人を超えた役者が演じてギリギリセーフなのは、せいぜい高校生まで。中学生役は普通に考えて、厳しいだろう(なぜ、制作サイドは役柄の年齢設定に見合った俳優を起用しないのか?この手の実写化を観る度に疑問に思う)。
また、豪華俳優陣を揃えたのはいいが、原作キャラのイメージとほど遠いのも残念なところ。もちろん、見た目が似ていれば万事OKというわけではない。しかし、原作のキャラクターと演じる俳優のビジュアルのギャップが大きすぎると、いかにも「俳優先行の企画」という感じがしてシラけるのだ。
とはいえ、大人の事情もあるだろう。100歩譲って、キャスティング面は大目に見たとしても、脚本面にも疑問がある。原作の内容を無理やり、前・後編にまとめようとしているのだが、まとめきれていないので、物語に整合性はなく、テンポも良くない。生徒たちの戦闘シーンが描かれることもなく、訓練シーンもダイジェストでさらっと流される。
原作で描かれたシーンをなんとか再現しようという意気込みは感じる。しかし、キャラクターたちの人間像が深掘りされていないため、何も感情移入ができないのだ。
また、生徒たちが、二宮和也演じる「殺せんせー」の殺害を覚悟する、本来であれば、涙腺決壊なラストシーンも、エモさが半減している。これには明確な理由がある。原作では、クラスメイト全員で考えたあげくの結論なのだが、映画版では、主人公・潮田渚(山田涼介)とクラスメイト・赤羽業(菅田将暉)の勝負によって、クラスメイト全員の意見が、強引に一致したような描写となっているのだ。
キャスティングも脚本も崩壊している実写化 。無理して実写化しなくてもよかったのではないだろうか…。
(文・ZAKKY)
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