実は酷評の名作映画は? アメリカで爆死・日本でヒットの映画(3)最低賞のダメダメ作…日本が馬鹿にされたのに
日本人にもなじみ深い、アメリカやイギリスなど欧米各国の映画作品たち。日本で有名なあのヒット映画のなかには、意外にも製作国では敬遠されたり興行成績が全然振るわなかったりした作品もあるようだ。今回は、なぜか海を越えて本国よりも日本人の心を鷲掴みにした、アメリカで大コケしたのに日本でヒットした作品を5本ご紹介する。
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ゴールデンラズベリー賞にノミネートされたダメダメ映画
『パールハーバー』(2001)
上映時間:183分
原題:Pearl Harbor
製作国:アメリカ
監督:マイケル・ベイ
脚本:ランダル・ウォレス
キャスト:ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセール、キューバ・グッディング・Jr.、トム・サイズモア、ジョン・ボイト
【作品内容】
1941年の日本軍による真珠湾攻撃(パールハーバー・アタック)を背景に、アメリカ陸軍航空隊に所属する2人のパイロットと看護婦との愛と友情の物語。
固い絆で結ばれた若者レイフ・マコーレー(ベン・アフレック)とダニー・ウォーカー(ジョシュ・ハートネット)。レイフは恋人イヴリン・ジョンソン(ケイト・ベッキンセイル)をダニーに託し、ヨーロッパの戦地へと向かう。
1941年12月7日早朝、宣戦布告もなく、日本軍の真珠湾攻撃が始まる。レイフとダニーは、戦闘機に乗り込むと、必死に自軍を守るために戦ったが、基地の損害は甚大だった…。
【注目ポイント】
「パールハーバー」と聞いて、戦争映画と思いきや、その内容はコテコテの恋愛映画だ。恋人が死んだと思って、その親友といい仲になったと思っていたら実は生きていたなどという、あまりにベタ過ぎる設定。そこに真珠湾攻撃の悲劇を重ねる必然性が全く見いだせない。
真珠湾攻撃のシーンは、ハリウッド映画らしく迫力満点だが、あまりにも日本人を馬鹿にしたような滑稽な描写には腹立たしさすら覚える。
こうした映画にリアリティーを求めるのは無粋ではあるが、日本人を適当に描きすぎである、という点は否めない。20世紀に見られたような古臭い日本人像であり、雑すぎるのだ。
真にアメリカ側の視点の真珠湾攻撃を描きたいのであれば、日本側もしっかりと描くべきではないだろうか。現に、一つの戦場をアメリカ側と日本側双方の視点から描き分けた『父親たちの星条旗』(2005)、『硫黄島からの手紙』(2006)という傑作が存在するではないか。
本作は、興行収入では、製作国のアメリカ(約63億円)以上に、日本でヒットした(約69億円)作品ではあるものの、その評価は決して高くなく、同年のゴールデンラズベリー賞(最低映画賞)にノミネートされた。
しかし、ステレオタイプな日本人像を描いた本作がアメリカよりも日本でヒットするとは何たる皮肉。2000年代初頭は、まだまだ「全米が泣いた」と盛大に宣伝をすれば、とりあえずハリウッド映画がヒットする時代だったのだろう。
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