巨額赤字で大爆死! 史上最低の大コケ「アニメ映画」(2)作画崩壊、まるで紙芝居…中抜き連発の愚行で超駄作
世はアニメブーム。近年は年間の興行収入ベストテンをアニメ映画が独占することも珍しくない。とはいえ、すべてのアニメ映画が大ヒットしているわけではもちろんなく、興行的に伸び悩んだ作品も少なくない。今回は、大爆死した赤字アニメ映画をご紹介。映画史に残る大コケ赤字アニメ映画を5本セレクトした。(文・寺島武志)
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まるで紙芝居…。
作画完全崩壊の日本アニメ史上に残る珍作
『ガンドレス(GUNDRESS)<完全版>』(2000)
製作国:日本
監督:谷田部勝義
原作:天沢彰
脚色:ORCA、伊崎健太郎、坂井淳一、藤家和正
キャスト(声優):石塚理恵、渡辺久美子、岡村明美、高木礼子
【作品内容】
エンジェル・アームズと呼ばれる女性のみで構成された特殊部隊に所属するアリサ・タカクラは、かつての恋人で死んだはずのテロリスト、ジャン・リュック・スキナーがサイボーグとして再生され、暗躍していることを知る。西暦2100年の未来都市ヨコハマ・ベイサイドシティを舞台に、アリサを擁するエンジェル・アームズと、ジャン・リュックを擁するテロ集団「セクンダディ」の戦いを描いている。
1999年に未完成の状態で上映が強行され、観客に完成品のソフトを無料配布するという前代未聞の“珍事”を引き起こしたアニメ作品。同作はその翌年に公開された「完全版」だ。
【注目ポイント】
日活が4億円の予算を用意したものの、下請け・孫請けによって、最終的にはスタジオジュニオ(現・ジュニオブレイントラスト)が、約2億円で受注。しかし、完成が間に合わないまま公開を強行し、完成までさらに1億円の製作費がかかった上、損害賠償請求され、活動停止にまで追い込まれてしまった、いわくつきの作品でもある。
正確な興行収入は明かされてはいないが、総製作費約5億円に対し、大赤字を残したことから、その悲惨さは想像に難くない。
まずもって、同作はアニメ作品として破綻している。“作画崩壊”と揶揄されるほどの低クオリティーに加え、セル画不足による不自然な映像は紙芝居にも例えられたほど。
2000年前後は、ジブリ作品が業界を牽引する形で、数多くのアニメ映画が公開され、「クールジャパン」と呼ばれる現在のアニメブームの萌芽とも言える時期であった。そんな中、本作に代表されるような低品質のアニメも濫造され、業界もまだまだ未成熟だったことが窺える。
DVD発売時は「業界・ファンの間で話題騒然となった“衝撃作”」と、自虐的なキャッチコピーが付けられた。日本アニメ界に汚点を残す“超”の付く駄作の一つといえよう。
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