ジャッキー・チェンへのオマージュも…なぜ日本では不人気? 映画『ミュータント・タートルズ』考察&評価。忖度なしレビュー
ジャッキー・チェンが声優に参加したことで話題を呼んだ、映画『ミュータント・タートルズ:ミュータントパニック!』が絶賛公開中。アメコミ風のタッチと、ティーン特有の悩みが描かれた王道映画として、注目を集めている。一方で、あまり日本で馴染みがない理由なども考察していく。(文・灸怜太)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
ファンからは大絶賛!
しかし日本であまり馴染みがない理由とはー。
なんとなく見たことはあるけど、原作とかストーリーはよく知らない…という人が多いと思われる『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』。
1984年にコミックで誕生し、87年にアニメ化されて世界中で大人気となったキャラクターだが、日本では常に微妙というか爆発的にブレイクしたことがない。その原因のひとつに、この微妙に長くて言いにくいタイトルがあるのではないだろうか。
易しい英単語が4つ並んでいるだけなので「10代の・突然変異した・忍者な・亀たち」という意味はわかるのだが、なんとなく親しみやすさが湧かない。だったら、イイ感じの邦題をつけよう! と、先人たちが苦労を重ねてきたという歴史がある。
アニメシリーズの日本語版が初放送された時のタイトルは『アイドル忍者タートルズ』。そのアニメを原作としたファミコンゲームの日本版は『激亀忍者伝』だった。「アイドル」はギリギリわかるが、さすがに「激亀」は意味不明だ。
そして、90年に公開された実写版映画の邦題は『ミュータント・タートルズ』。単語を2つ抜いた簡略型だが、日本では基本的にこのタイトルが定着していく。
…かと思われたが、映画第2弾の邦題は『ミュータント・ニンジャ・タートルズ2』と、急に「ニンジャ」を割り込ませ、続いて製作された、日本の戦国時代にタイムスリップする実写映画第3弾も『ミュータント・ニンジャ・タートルズ3』だった。
その後も『T.M.N.T.』とオシャレに略したりして、このイメージで行くのかと思ったら、2014年公開のリブート版実写映画の邦題は『ミュータント・タートルズ』と原点回帰。その続編は『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』で、しれっと「ニンジャ」を戻し入れて旧実写版のパターンを踏襲するという、誰にも気づかないオマージュを捧げていた。
そして、今回の新作アニメ版の邦題は『ミュータント・タートルズ:ミュータントパニック!』である。ティーンエイジ&ニンジャ抜きというおなじみのパターンに、ミュータント被せのサブタイトルが付属するという混迷ぶりだった。