「カニのセバスチャンのような声を出さなければクビ」映画『クール・ランニング』ジャマイカ訛りをめぐってディズニーと対立?
オリンピック出場の夢に破れたジャマイカの陸上選手たちは諦めず、冬季五輪のボブスレーに挑戦する…。実話を基に描いたスポーツコメディ映画『クール・ランニング』(1993)が、その製作内容に関して、ディズニーの重役と揉めていたことが明らかとなった。今回は米Varietyを参考に、その詳細内容を確認していく。
ディズニーの重役が黒人俳優の訛りにダメ出し?
ディズニーの人気スポーツコメディ映画『クール・ランニング』(1993)。同作は公開から今月で30周年を迎えた。
公開30周年に伴い、同作の製作を務めたジョン・タートルトーブ監督と出演キャストたちが英Independent紙のインタビューに応じ、映画のジャマイカ訛りを巡るディズニーとの戦いの内容を明かした。
1988年冬季オリンピックのボブスレー・ジャマイカ代表チームのデビューを基にしたこの映画は、「ドラッグ、人種差別、登場人物がヤリまくる」という過激な脚本内容で、ディズニーとは無縁なスタートであったと出演者のロール・D・ルイスは振り返る。
タートルトーブ監督は「この映画の受け入れられ方が変化していくのを見たんだ」「『タイツを着たジャマイカ人?』『これがどうやってディズニーの傘下に入るんだ?』という感じだった」と話した。
さらに、ウォルト・ディズニー・スタジオの重役たちは、キャストのアクセントを巡ってタートルトーブ監督と揉めたという。
キャストのレオンは「彼らは私に黒人のアラジンのような声を求めていた。所謂ディズニー・バージョンにしたかったんだ。僕はプロフェッショナルだから、その仕事をしなければならなかった」と話した。
マリク・ヨバは「中米の人たちはあなたのことを理解できないだろう、と言われました。当時は文化の違いに触れる機会が少なく、人々はジャマイカ語の本当の響きを知らなかったのです」と話す。
また、タートルトーブ監督によれば、当時のディズニー会長であったジェフリー・カッツェンバーグから、午前1時に電話を受けたという。
タートルトーブ監督は「カッツェンバーグは、”もしこのアクセントを私がはっきり理解できるようにできないのなら、他の監督を探す “と言っていました」
「翌日、私は出演者たちに、カニのセバスチャンのような声を出さないとクビになる。頼むからクビにしないでくれと言いました」
「私たちはそれをジョークにしていましたが、世界中の人々が理解できるような、アメリカナイズされた映画を作ることを彼らも理解してくれました」と話した。
また、タートルトーブ監督は、映画『クール・ランニング』の製作が、今年2023年に撮影された場合、違ったものになったかと尋ねられると、以下のように答えた。
「30年の間に時代は大きく変わりました。私が今この仕事に就ける可能性はゼロだし、おそらく就くべきではないのです。私は、この映画を私が監督すべきではなかった、と言う批判的な人々と同じ立場ではありますが、結局のところはとても素晴らしい映画に仕上がるという複雑な結果になりました」
映画『クール・ランニング』は現在Disney+(ディズニープラス)で、絶賛配信中。Amazonプライムビデオでのレンタルも可能だ。
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