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2000年以降最も世界で評価の高い日本映画は…? 海外で大絶賛されている傑作邦画5選。国外で賞賛を浴びる理由も深掘り解説

text by 編集部

海外にもファンの多い、独特の魅力を誇る日本文化。特に日本映画において世界に知られている人物や作品といえば、昔でいえば黒澤明や三船敏郎、現代でいえばアニメ作品が多いだろうか。今回は、そんな日本映画の中でも、2000年代以降で特に海外で評価されている作品をご紹介する。

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『火垂るの墓』の高畑勲監督による遺作

『かぐや姫の物語』(2013)


出典:Amazon

上映時間:137分
監督・原案:高畑勲
脚本:高畑勲、坂口理子
原作:「竹取物語」
キャスト(声優):朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、上川隆也、宇崎竜童、中村七之助、橋爪功、朝丘雪路、仲代達矢

【作品内容】

山で竹を採って暮らしていた翁は、竹林で光り輝く不思議な竹から小さな女の子を見つける。女の子は翁と媼に大切に育てられ成長していったが、翁は立派な女性に育てるべく作法を身につけさせようと都に移り住む。

美しい娘へと成長した姫の元に、5人の求婚者が現れるが…。おとぎ話の「かぐや姫」とは違い“罰と罪”の物語。

「火垂るの墓」や「平成狸合戦ぽんぽこ」を制作した高畑勲監督が、「竹取物語」を原作に水彩画タッチで野心的な映像表現を試みた長編アニメーション。

【注目ポイント】

高畑勲監督
高畑勲監督Getty Images

監督・原案・脚本を手掛けた高畑勲が、『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999)以来、約14年ぶりに手がけた作品。高畑はその4年半後の2018年4月に死去し、本作が遺作となった。

高畑が日本最古の物語文学といわれる「竹取物語」をベースとしながらも、独自の解釈で脚色した、異色の長編アニメーション。

手描きの線を強調することでキャラクターの喜怒哀楽を表現し、背景の繊細で美しい水彩画と合わせて、芸術性の高いアニメーションを完成させている。

実に製作期間8年、製作費は50億円と、アニメーション作品としては破格のスケールを誇る。

美しく独特な画風は不思議な世界感があり、ストーリーは結局、「かぐや姫」と同様の展開となるのだが、月の世界の出来事に一歩踏み込んだような神秘的な場面も印象的だ。

主なストーリーとして、かぐや姫か犯した“罪”にもスポットを当てており、いわゆる「おとぎ話」とは違った、哲学的で、鑑賞者側に答えを委ねるような作品となっている。

あくまでも、かぐや姫を“1人の女性”として描き、時として怒りの感情を露にする生々しくも人間臭いキャラクターとしている。5人の公達が必死に求婚するが、にべもなくそれを拒む。

かぐや姫を見付け育てた翁と嫗に対しても平気で反抗し、あくまでも「自由」を求めるかぐや姫の姿に、自らを重ねる女性も多かったであろうことも、本作が支持された理由の一つだろう。

本作は、特にアメリカで人気を呼び、アカデミー賞の長編アニメ映画賞にもノミネートされた。

辛口で鳴らすアメリカの映画批評家も総じてポジティブな評価を下し、多くのレビューサイトでも最大級の高評価で「スタジオジブリの最高の成果」とまで賞賛された。

日本国内での興行収入が約24億7000万円だった一方で、アメリカでの興行収入は約2700万ドルを記録し、製作費を大幅に超える大ヒット作となった。

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