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海外絶賛! 00年以降、世界で最高評価の日本映画(3)なぜ海外で知名度低い…日本最高峰の名匠、その最高傑作

text by 編集部

海外にもファンの多い、独特の魅力を誇る日本文化。特に日本映画において世界に知られている人物や作品といえば、昔でいえば黒澤明や三船敏郎、現代でいえばアニメ作品が多いだろうか。今回は、そんな日本映画の中でも、2000年代以降で特に海外で評価されている作品をご紹介する。

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真田広之主演の人情剣客時代劇

『たそがれ清兵衛』(2002)


出典:Amazon

上映時間:129分
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
原作:藤沢周平
キャスト:真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、大杉漣、吹越満、中村梅雀、尾美としのり、田中泯、岸惠子、丹波哲郎

【作品内容】

山田洋次監督
山田洋次監督Getty Images

幕末の庄内地方・海坂藩の井口清兵衛(真田広之)は妻に先立たれた上、認知症を抱える老いた母の世話と2人の娘の子育てと、死んだ妻の薬代や葬儀代による借金返済のため、質素な生活を強いられていた。

衣服の薄汚れていく様を見て、周囲の者の中には彼に「たそがれ清兵衛」とあだ名を付け、揶揄する者もいた。

ある春の日、清兵衛は親友の飯沼倫之丞(吹越満)と再会する。倫之丞の妹の朋江(宮沢りえ)が酒乱の夫・甲田豊太郎(大杉漣)に虐待されていることを知り、離縁させたと聞く。

それ以来、朋江が清兵衛の家に訪ねてくるようになり、清兵衛は恋心を抱く。

【注目ポイント】

日本独特の人情剣客時代劇でありながら、2003年のアカデミー賞「外国語映画賞」にノミネートされるなど、海外でも高い評価を受けた本作。興行収入面でも日本では約12億円、アメリカでも約1020万ドルを記録した。

その後、藤沢周平原作・山田洋次監督のタッグによる時代劇3部作として『隠し剣 鬼の爪』(2004)、『武士の一分』(2006)が製作され、いずれもヒットし、21世紀となっても、“時代劇ここにあり”と存在感を示した。

監督の山田洋次は、周知の通り、日本を代表する映画監督の一人だが、海外的な知名度は必ずしも高いとは言えない。撮影所システムが曲がりなりにも機能していた1961年に監督デビューした山田は、代表作の『男はつらいよ』シリーズをはじめ、所属する松竹のプログラムピクチャーを担った、職人監督だ。

同世代の大島渚が政治性と芸術性の高い作品で世界に打って出たのに対し、国内に留まり、老若男女が楽しめる娯楽作を堅実に作り続けてきた山田の映画人生にとって、海外での評価は重要な位置を占めていないが、逆に言うと、今後、海外の観客が山田作品を発見し、世界的な監督として再評価される可能性は十分にあり得る。

事実、アメリカ最大の映画レビューサイト「ロッテントマト Rotten Tomatoes」では、山田のキャリア後期の最高傑作といってもいい『たそがれ清兵衛』は、高い評価を獲得している。本作を皮切りに海外で山田洋次の作品がもっと観られる日は近いのではないだろうか。

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