名作日本映画ぶち壊しの駄作…史上最悪、邦画の海外リメイク版5選。日本版オリジナルの足元にも及ばない迷作をセレクト
日本映画が海外でリメイクされている作品がいくつか存在するが、今回はその中から史上最低の映画をセレクト。興行的には成功した作品でも、オリジナルファンを憤慨させる駄作や、監督が嫌々で制作したもの、そもそも公開に至らなかった作品など、あらゆる方向からワーストリメイク映画を選出した5本を紹介する。
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「仕方なく撮影した」監督やる気ゼロ映画
『GODZILLA』(1998)
上映時間:138分
原作:『ゴジラ』(1954)
製作国:アメリカ
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ディーン・デブリン、ローランド・エメリッヒ
キャスト:マシュー・ブロデリック、ジャン・レノ、マリア・ピティロ、ハンク・アザリア、ケビン・ダン、マイケル・ラーナー、ハリー・シェアラー、加藤雅也
【作品内容】
南太平洋で、日本の漁船が謎の生物に襲われ沈没する事件が発生。某保険会社から派遣されたと語る男、フィリップ・ローシェは唯一の生存者となった老船員から何を目撃したかを問い出し、朦朧としながらも恐怖に慄いた言葉で「ゴジラ」という名が紡がれる…。
【注目ポイント】
本作は、言わずと知れた日本の特撮映画の金字塔「ゴジラ」シリーズのハリウッドリメイク版。オリジナル版第1作が劇場公開されたのは1954年だ。当初のゴジラのキャラクター設定は、ビキニ環礁での水爆実験により生み出され、放射能を口から吐きながら、人間を襲う大怪獣であったことも、今では知る人も少ないのではないだろうか。
オリジナル版は日本のみならず、海外でも大人気となり、モスラ・ラドンとの“3大怪獣スター”、キングギドラ、ガメラなどといった怪獣が次々と登場し、東宝の金庫が潤ったことは言うまでもない。アメリカにおいても、2014年にもリメイク版(『GODZILLA ゴジラ』)が製作され、その中で本作は「トライスターゴジラ」「エメリッヒ版」などと呼ばれ、区別されている。
本作に登場するゴジラは1986年に起きたチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故から着想を得ており、そういう意味では初代ゴジラとの共通点も多い。結論から言ってしまうと、約360万人もの観客動員数を記録し、約3億8000万ドル(約51億円)の興行収入を叩き出した。これは東宝製作の平成ゴジラシリーズや平成モスラシリーズよりも高い数字だ。
ではなぜ、本作が“ワーストリメイク”の仲間入りを果たすことになってしまったのか。それはひとえに、従来のゴジラシリーズのファンからソッポを向かれてしまったことに尽きるだろう。
エメリッヒ監督自身が、公開前から「着ぐるみの怪獣映画になど興味はなかった」「ゴジラのキャラクター設定について細かいルールを提示され、嫌気が差した」「ヤル気がなかったのでいい加減な脚本を提示し、オファーを断念してくれることを期待したが、OKが出てしまったので仕方なく撮影に入った」などと発言。要はエメリッヒ自身がゴジラに何の思い入れもなく、退屈な仕事の中に1つに過ぎなかったのだ。
興行的には成功した一方で、長年のゴジラファンや批評家たちから酷評された本作。現在でもこの作品を「ゴジラシリーズ」に含めるべきか否か、議論が絶えない作品となってしまっている。