昭和を愛するインフルエンサー・阪田マリン、心の映画(3)「『そんなわけないやん!』の感覚が大好き」
各界で活躍する著名人に「人生に影響を与えた映画」をセレクトしてもらい、その魅力を語っていただくインタビュー企画。今回登場するのは、20代にして昭和カルチャーに真底ハマり、「ネオ昭和」を提唱しつつ、昭和のよさを現代に発進し続ける、阪田マリンさん。そんな彼女に、大好きな昭和の映画を紹介してもらった。(文・ZAKKY)
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「私の中で最高の映画です」
『そんなわけないやん!』が成立する怪作
『メイン・テーマ』(1984)
―――薬師丸さん主演作品としては、最後になります。
「ええと、これは良い意味であえて言いたいのですが…。薬師丸さんとダブル主演の野村宏伸さんの演技がですね、現代の感覚からすると、ちょうどいい具合にこなれていないんですよ(笑)。頑張っている姿もかわいいですし、顔もカッコいいので、ギャップ萌えしてしまうんですね(笑)。野村さんとは対照的に、当時20歳となった薬師丸さんからは、貫禄も見え始めています。
物語の“メイン・テーマ”は、小笠原しぶき(薬師丸ひろ子)が見習いマジシャンである大東島健(野村宏伸)と恋に落ちるという話なのですが所々で 「そんなわけ、ないやろ!」ってツッコミたくなるシーンがあって、そこも病みつきになるポイントです」
―――アハハ!ツッコミポイントが多いと、それだけで楽しいですよね。
「ラストシーンでは、2人がホテルの窓から外を見ると、風船が500個ぐらい飛んでいて、なし崩し的にハッピーエンドになったり(笑)。でも、そういった描写がやっぱり良いんです。
今のドラマや映画って、視聴者の共感を集めることに躍起になって、リアルであることを意識し過ぎているとも思うんですね。もちろん、現実味がある作品はそれはそれでいいと思うのですが、昔の映画は、鑑賞者が好きと思うか、嫌いと思うかわからないけど、観客に判断を委ねる部分が大きかったと思うんです」
―――昔は事前情報もあまりなかったので、今より映画を観るワクワク感もあった気がします。
「多分、そうだったんだと思います。予想していたより単純な話だったということもあるでしょうし、私は『そんなわけないやん!』とツッコミたくなる描写をあえてやっちゃう当時の感覚が大好きなんです。
例えば、見ず知らずの男と交差点ですれ違って「あっ!」と、思わず声が出て恋が始まるなんて最高じゃないですか!今では考えられないシチュエーションを、真剣に描いている作品として、私の中で最高の映画です」
―――昭和特有のデタラメさが、マリンさんのような若い世代にポジティブに受け止められているのが興味深いです。
「ちょっと話が変わるかもしれませんが、現代はコンプライアンスや炎上を回避しようとする配慮が先行する形で映画が作られていると思うんです。もちろん、昭和がなんでもOKだったわけではないと思いますが、作品を観ると、今より自由度はすごく高かったんだなあと、つくづく感じますね」
―――ちなみに近年の薬師丸さん出演作も観ていますか?
「ええ、もちろんです。去年に公開された映画『とんび』では、北村匠海さん演じる主人公のお母さん役を演じていらしたのですが、作品自体、昭和をコンセプトにしており、割烹着姿で居酒屋の従業員を演じる薬師丸さんにも、やはり胸キュンでした!」
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