名作ぶち壊し…史上最低のリメイク日本映画(1)日本アカデミー賞受賞ってマジ!? オリジナルに泥塗った失敗作
text by 寺島武志
今回はリメイクされた最低の日本映画をセレクト。旧作をリスペクトしているのは分かるが、あまりにもお粗末過ぎる…。せっかく製作するなら、もう少し過去作に寄せるなりして欲しかった…。「名前だけ借りたかっただけでは?」と、ついつい小言を言いたくなってしまう作品群を紹介する。今回は第1回。(文・寺島武志)
●日本アカデミー賞受賞ってマジ!? メインテーマのブレが致命的なリメイク作品
『最高の人生の見つけ方』(2019)
製作国:日本
監督:犬童一心
原案:ジャスティン・ザッカム
脚本:浅野妙子、小岩井宏悦、犬童一心
キャスト:吉永小百合、天海祐希、ムロツヨシ
【作品内容】
余命宣告を受けた2人の男が、死ぬ前にやり残したことを実現するために、「やりたいことリスト」を作って冒険に出るというハートフルストーリーを、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという名優の共演で2007年に製作されたハリウッド版。リメイクされた日本版では、家庭に尽くしてきた主婦役に吉永小百合、仕事に人生を尽くしてきたヤリ手の女社長役に天海祐希のダブル主演という大きな改変がされている。
【注目ポイント】
主演を女性にしたことで、そのスケール感は大きく削がれたといっていいだろう。
オリジナル版がファンタジーあふれる作品である一方で、リメイク版では、設定があまりに現実的で、脚本も陳腐になってしまっている印象だ。しかも、サイドストーリーであるはずだった、幼くして亡くなってしまった女の子の存在、そして、その死がきっかけで「やりたいことリスト」を作り出すという点で、「自分たちがやりたかったこと」が「亡くなってしまった女の子がしたかったこと」にすり替えられてしまっている点で、この映画のメインテーマの軸がぶれてしまっている。
興行的には成功を収め、吉永小百合と天海祐希は日本アカデミー賞も受賞したが、オリジナル版を観賞した映画ファンからは「全くの別モノ」といった不満の声が上がった作品だ。
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