最も面白いゴジラ映画は…? シリーズ史上最高の作品5選。息もつかせぬ展開が素晴らしい…特撮映画の歴史に残る名作だけを厳選
世界で最も有名な怪獣映画『ゴジラ』。およそ70年にわたって数々の名作を送り込んできた同シリーズの製作には、円谷英二や本田猪四郎など、日本映画史を代表する才能たちが携わってきた。今回はハリウッド製作のものを含めると約40作品にものぼる「ゴジラ映画」の中でも、最も面白く、評価の高いものをセレクトした。(文・寺島武志)
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ファン層の拡大を実現。転換点となった逸品
『モスラ対ゴジラ』(1964)
上映時間:89分
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:関沢新一
キャスト:宝田明、星由里子、小泉博、藤木悠、田島義文、佐原健二、田崎潤、藤田進、ザ・ピーナッツ、沢村いき雄、大村千吉、老小杉義男、古谷敏
【作品内容】
巨大台風が日本列島を通過した翌日、新聞記者・酒井市郎(宝田明)と助手の中西純子(星由里子)は、台風の被害を受けた倉田浜で虹色に輝く謎の物体を発見する。
一方、海岸には謎の巨大な卵が漂着、三浦俊助博士(小泉博)らが調査するが、その正体は解明できない。そんな中、悪徳興行師の熊山(田島義文)は、その卵を漁民から買い取って、建設中のレジャーランド「静之浦ハッピーセンター」の目玉にしようと目論む。
ある日、三浦博士と酒井らの前に小美人(ザ・ピーナッツ)が現れ、この巨大な卵はインファント島に唯一残っていたモスラの卵だと主張し、返還を求めるが、金に目がくらんでいた熊山はこれを拒否する。
【注目ポイント】
「ゴジラ」シリーズ第4作にして、『モスラ』(1961)の続編を兼ねている本作。名古屋を舞台にゴジラとモスラの2大怪獣が激突するというストーリーだ。
「モスラ~や、モスラ~♪」の歌詞でおなじみの、ザ・ピーナッツによる「モスラの歌」を通じて、多くの怪獣ファンに記憶されている本作。その意味不明な歌詞が呪術性を持ち、その後、平成モスラシリーズや『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003)でも使用されるなど、モスラという怪獣を表現する際に欠かせない名曲となった。
さらに本作では、ゴジラが明確な悪役として登場し、正義の怪獣・モスラが人類を救うためにゴジラを倒すヒーローという単純明快なキャラクター設定に基づいた、分かりやすい“ザ・怪獣映画”といったストーリーとなっている。
また、超人気デュオだったザ・ピーナッツの適材適所という他ない見事な起用によって、従来の男性を中心とした怪獣映画ファンのみならず、女性ファンやちびっ子ファンにも訴求し、ファン層の拡大にもつながった作品となった。
ちなみに、本作でゴジラ=悪というイメージはひとまず終わり、以降のシリーズでは人類を守る存在として、外からやってきた宇宙人や怪獣と激戦を繰り広げることになる。その点でも本作は、シリーズの節目となる作品だと言っていいだろう。