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世界で最も考察されている映画は…? 鑑賞後に解説が読みたくなる最高の映画5選。何度見返しても面白い名作だけをセレクト

text by ニャンコ

映画には「考察系映画」という、一度見ただけでは到底理解できない難解な映画がある。その魅力は、考えれば考えるほどドツボにハマっていくところにある。今回は、世界中で最も多く考察されている映画を、SFの金字塔から元祖大どんでん返しまで5選を、作品のポイントや巷で繰り広げられている考察と一緒に紹介していく。(文・ニャンコ)

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頭ではなく感覚で見る映画
夢と現実の境目が考察ポイントに

『マルホランド・ドライブ』 (2002)

映画『マルホランド・ドライブ』の1シーン。ナオミ・ワッツ
映画マルホランドドライブの1シーンナオミワッツGetty Images

上映時間:146分
監督:デイヴィット・リンチ
脚本:デイヴィット・リンチ
キャスト:ナオミ・ワッツ、ローラ・ハリング、ジャスティン・セロー、アン・ミラー、ロバート・フォスター

【作品内容】

ある夜、ハリウッドを一望できる峠道「マルホランド・ドライブ」には一台の車があった。車の後部座席には謎めいた雰囲気の黒髪の女(ローラ・ハリング)が眠っている。

彼女は、自分が大勢の人々とダンスを踊る夢の中で、ショートカットの金髪の女を見ていた。

目を覚ますと突然車が停車し、運転手の男は銃を突きつけ、車から降りろと命じるのであった。女が困惑していると猛スピードで走る2台の車が、女の乗っている車に激突し激しく炎上してしまう。

【注目ポイント】

本作は、夢と現実、そして時間軸が複雑に絡み合うストーリーに仕上がっており、その複雑なストーリーは、多くのファンを魅了してきた。特に夢のシーンでは、登場人物の言動やシーンの切替が支離滅裂であり、そのため観客は混沌の渦へと巻き込まれることになる。その混沌の渦こそが考察好きの心をくすぐってきた。

夢と現実の境目が主な考察ポイントである。本作は夢と現実シーンが絡み合い、観客はいま目にしているシーンが、「夢なのか現実なのかが明確にわからなくなる」のである。

具体的には、17号室にいる死体の正体などが挙げられる。ラストシーンで死体の正体は、ダイアナであることがわかるが、果たして本当に死体の正体はダイアナなのだろうか?

例えば、「ダイアナが死んだことこそが夢なのではないか?」など、夢と現実の境目が曖昧であるが故に真相がわからなくなり、その曖昧さこそが考察ポイントとして多くの人々を魅了している。

ラストシーンで青い髪のマダムが「シレンシオ(お静かに)」と言っており、この言葉の意味として「静寂」、「沈黙」、そして「無の状態になる死後の世界」を表現していると考察されている。

また夢の中でベティとリタが「クラブ・シレンシオ」を訪れるが、この時に青い光、青い箱、青い髪のマダムなど、青に関連しているものが多く登場しており、その後の展開からも、青=死を象徴していると考えられる。

同時に青い髪のマダムが言う「シレンシオ(お静かに)」という言葉には、ダイアナの死に対して黙祷を意味している、といった考察も繰り広げられている。

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