お酒が飲みたくなる…忙しない社会人に刺さるワケ。アニメ映画 『駒田蒸留所へようこそ』徹底考察。忖度なしガチレビュー
text by あさかしき
P.A. WORKS制作による映画『駒田蒸留所へようこそ』が現在公開中。本作はP.A. WORKSの「お仕事シリーズ」初のオリジナル長編アニメーション作品であり、監督を務めたのは『有頂天家族』(2013)の吉原正行。今回は、本作のレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】(文・あさかしき)
「お仕事シリーズ」最新作
舞台はウイスキー蒸留所
本作は、P.A. WORKS制作によるオリジナルアニメーション映画作品。P.A. WORKSはこれまでアニメ制作会社の日常を描いた『SHIROBAKO』(2014)、沖縄の水族館を舞台にした『白い砂のアクアトープ』(2021)など、「仕事」をテーマにしたアニメ作品を世に輩出しており、本作はその「お仕事シリーズ第5弾」にあたる。
そんな本作の舞台は、作品タイトルにある通り「蒸留所」。
長野にあるウイスキー蒸留所「駒田蒸留所」を継いだ若き女社長・駒田琉生(早見沙織)が、経営の立て直しと幻のウイスキー“KOMA”の復活に奮闘するという筋書きだ。
まず、本作はアニメ特有ともいえるファンタジー展開は一切ない。空は飛ばないし時間は巻き戻らない、異世界にも飛ばないし超常現象は起きない。そのような妄想パートも無い、地に足のついた構成だ。
いわゆるギャグ要素も殆どない。時おりクスっとするシーンはあれど、基本的には至極真面目なお仕事ドラマとして進行している。
実写作品と比較した時、アニメにおける上記のようなファンタジー表現はまさに強みと言っていい。それを敢えて捨てた制作陣が本作で伝えたかったものとは何なのか。早速、次のページから考察していきたい。