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今、アートドキュメンタリーが熱い! 日本出身の世界的アーティスト・ドキュメンタリー映画が来年公開!

text by 編集部

欧米アーティストのドキュメンタリーが次々公開され劇場を沸かせた2023年。2024年は日本出身の世界的アーティストである、「魔女の宅急便」原作者、角野栄子のドキュメンタリーと、“年齢非公表のアーティスト”として80歳を超えた現在でも世界を舞台に活躍するピアニスト、フジコ・ヘミングにフォーカスした新作がこぞって公開される。

アートドキュメンタリーの勢いが止まらない!

(c)KADOKAWA
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今年2023年の映画界はアート系ドキュメンタリーが大豊作。なかでもアーティストの生い立ちや人生、作品づくりに着目した作品が続々と公開された。

映画ファンたちの間では『ヒッチコックの映画術』、『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』、『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』など映画監督が被写体となった作品たち。加えて秋には「太陽がいっぱい」「見知らぬ乗客」などの名作映画の原作を手掛けたアメリカの人気作家パトリシア・ハイスミスの日記を通して彼女の心情を探った『パトリシア・ハイスミスに恋して』が公開。

一方、映画以外のアーティストに注目した作品も多く、世界的建築家・デザイナーのアルバ・アアルトの人生と作品を捉えた『アアルト』は目下ロングランヒット中。芸術への知的探求心に導かれ、ヒット作を生み出す者たちの感性や苦悩をスクリーンで体感し、そのなかに生きるヒントを探した方も多いだろう。

アーティスト注目型ドキュメンタリーでより私たちの身近に感じられるような注目作が、2024年に公開となる。

一つ目は、「魔女の宅急便」で知られる児童文学者角野栄子の日常に宮川麻里奈監督が4年間密着してその素顔に迫るドキュメンタリー『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』。

国際アンデルセン賞授賞式で表彰され拍手を受ける晴れ姿や、88歳にして現役で執筆活動を続ける彼女のルーティン、ファッションへのこだわりなど、「自分にとって気持ちが良いもの」をモットーに毎日を楽し気に過ごす様子が映し出される。

24歳の時にブラジルに渡って生活し、のちに現地での日々を描いた「ルイジンニョ少年:ブラジルをたずねて」で作家デビューした角野の仕事に対する思いも語られ、観ている方がまるで魔法にかけられるような、元気がもらえる作品に仕上がった。

二つ目は、世界を舞台に活躍するピアニスト、フジコ・ヘミングに2020年から4年に渡り密着した『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』。戦時下に身を置いた少女時代も、世界中がロックダウンに見舞われたコロナ禍も、愛すべき音楽にひたむきに向き合ってきた姿を記録したドキュメンタリー。

“年齢非公表のアーティスト”として、80歳を超えた現在でも精力的に活動する彼女の姿は、人間の情熱に決して期限はないということを私たちに教えてくれます。その太く力強い指先から生み出される癒やしの音色(ねいろ)とともに、フジコの人生に迫る。

日本にルーツがあるふたりだが、海外暮らしを経験し、それぞれ世界中で作品、パフォーマンスが愛され高い評価と人気を得ている世界的アーティスト。ふたりがカメラに向けてどんなことを語るのか、どんな姿を見せてくれるのか、期待せずにはいられない!

『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』

©️KADOKAWA
©KADOKAWA

書くことが大好きで一生続けていこうと思った。

「魔女の宅急便」の作者として知られ、8歳になった今でも現役の児童文学作家として精力的に執筆に励む角野栄子。そのユーモアと想像力で、実に260冊を超える作品を世に送り出してきた。長く愛される物語を生み出してきただけでなく、近年は、そのおしゃれなライフスタイルや人生観にも注目が集まっている。

鎌倉の自宅ではテーマカラーである「いちご色」に囲まれ、カラフルな眼鏡とワンピースがトレードマーク。「自分にとって気持ちがいいもの」をモットーに、遊ぶように暮らし、遊ぶように書き、毎日を心地よく暮らしている。本作は、そんな角野を4年間にわたって撮影し、創作活動の裏側が収録された貴重なドキュメンタリー映画だ。

角野は、1935年に東京・深川で生まれ、5歳で母を亡くし戦争を経験する。新婚の夫とともにブラジルに渡ったのは24歳のとき。まだ日本人が自由に海外に行けない時代に広い世界を見てみたいと個人移民の道を選ぶが、着いた当初は現地での暮らしになじめず、来たことを後悔した日もあったという。

そんなとき角野にポルトガル語を教えてくれたのが近所に住むルイジンニョ少年でした。このブラジル時代の恩人との交流を綴った「ルイジンニョ少年:ブラジルをたずねて」で作家デビューを果たすが、それは娘のリオの育児に追われていた35歳のときだった。

作家デビューから53年。角野は「誰よりも自分が楽しむこと」をモットーに、コツコツと大好きな執筆を続けてきた。そして、奇跡のような出来事が重なり、ついに62年ぶりにルイジンニョと再会することになる。角野さんは今回、ルイジンニョさんにどうしても見せたいものがあった―。

語り:宮﨑あおい
監督:宮川麻里奈 音楽:藤倉大
プロデューサー:山田駿平 宣伝プロデューサー:大﨑かれん 編集部協力:岡山智子
ラインプロデューサー:松本智恵 撮影:髙野大樹 編集:荊尾明子 音響効果:河原久美子 監督補:岡澤千恵
制作:NHK エンタープライズ 制作協力:角野栄子オフィス エネット 映像提供:NHK 製作・配給:KADOKAWA
公式サイト

『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』

©2024 恋するピアニスト フジコヘミングフィルムパートナーズ

世界を舞台に活躍するピアニスト、フジコ・ヘミングに2020年から4年に渡り密着、世界中が止まったコロナ禍や戦時下に身を置いた少女時代も愛すべき音楽に向き合ってきた姿を記録したドキュメンタリー。

“年齢非公表のアーティスト”として、80歳を超えた現在でも精力的に活動する彼女の姿、その太く力強い指先から生み出される癒やしの音色(ねいろ)とともに、フジコの人生に迫る。

出演:フジコ・ヘミング
監督・構成:小松莊一良
配給:東映ビデオ
©2024 「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」フィルムパートナーズ
公式サイト
2024年秋公開

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