2023年民放ドラマ表彰式(3)最優秀助演男優賞にふさわしいのは? 主演も脇役も完璧…芸達者ぶりを発揮した役者は?
2023年も残すところ僅か。今回は2023年の民放ドラマ作品を振り返る「映画チャンネル ドラマアカデミー賞」を開催。「主演男優賞」、「主演女優賞」、「助演男優賞」、「助演女優賞」、「新人賞」、「脚本賞」、「主題歌賞」の7部門から映画チャンネルが独断で選出。今回は今年もっとも輝いた助演男優を選出する。(文・寺島武志)
「助演男優賞」
赤楚衛二『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(テレビ朝日系)
【他のノミネート】
阿部寛(TBS系『VIVANT』)
田中圭(日本テレビ系『リバーサルオーケストラ』)
吉岡秀隆(日本テレビ系『コタツがない家』)
溝端淳平(テレビ朝日系『何曜日に生まれたの』)
【授賞理由】
2060年に列車ごとタイムワープしてしまいながらも、慌てふためき、平常心を失う乗客を主人公のカリスマ美容師・萱島直哉(山田裕貴)と反目しながらも、まとめ上げていく消防士・白浜優斗を演じた赤楚衛二。
その誠実な性格で人望を集め、食糧の確保すらままならず、イライラを募らせていく他の乗客たちをなだめつつ、手を携えながらサバイブしていく。元の世界につながっていると思われるワームホールを発見し、過去へ戻ることに成功したかのように見えたが、たどり着いたのは2023年ではなく、2026年5月の東京。その年の12月、巨大な宇宙ゴミが地球に衝突し、人類のほとんどが滅亡することを知った白浜は、その未来を訴えるが誰も信じてくれない。
しかも、好奇の視線にさらされ、ネット上で素性が暴かれた上に、消防士としての業務中、野次馬に消火作業をジャマされ、怒りのあまり野次馬を突き飛ばす。その動画もネットで拡散され炎上し、白浜は「こんな世界、もう終わればいい」と漏らし、現実に絶望する。
山田裕貴が演じた主人公・萱島の自分勝手なキャラクターとは正反対の実直な青年を演じたかと思えば、“再ワープ”した世界では、人間の本性を知り、自暴自棄になる振り幅の大きい役柄を好演した赤楚。それは、名作映画『猿の惑星』でチャールトン・ヘストンが演じた宇宙飛行士・テイラーの姿を想起させた。
赤楚といえば、23年夏季ドラマ『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)で主演を務めた。仕事でもプライベートでも誰にでも人当たりよい「いい人」でありながら、恋愛においては空回りしてしまう主人公・向井悟を演じて好評を博した。
ジャンルも役柄も全く違う作品を見事演じきった赤楚英二にとって、2023年は飛躍の年だったと言っても過言ではないだろう。
(文・寺島武志)
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