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バルカン半島3部作ついに完結。リム・カーワイ監督最新作映画『すべて、至るところにある』メインビジュ&予告編&コメント解禁

text by 編集部

マレーシアに生まれ、日本や中国など世界を股にかけ映画を制作するリム・カーワイ監督最新作映画『すべて、至るところにある』は、『どこでもない、ここしかない』(2018)、『いつか、どこかで』(2019)に続くバルカン半島3部作の完結編である。今回は、来年1月27日の公開を前に、メインビジュアル&予告編&コメントを解禁する。

現実と虚構を行き来するラブサスペンス
3部作ついに完結

映画『すべて、至るところにある』
©cinemadrifters

映画『すべて、至るところにある』は、リム・カーワイ監督の『どこでもない、ここしかない』(2018)、『いつか、どこかで』(2019)に続くバルカン半島3部作の完結編。

パンデミック、戦争という全世界が体験した未曾有の現実の中で、人間の孤独と希望を映し出したバルカン半島3部作の集大成ともいうべき作品が完成した。

2024年1月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開予定だ。

今回は本作の公開に先駆け、2023年大河ドラマ『どうする家康』人物デザインを担当したことでも話題の柘植伊佐夫、元AKB48でタレントの倉持明日香、作家の田中泰延、バルカン半島を中心とした旧共産圏に点在する奇抜な廃墟と朽ちゆくスポメニックを撮影した写真集「旧共産遺産」の写真家・星野藍、映画監督の真利子哲也、舩橋淳、映画評論家の森直人、エリック・ロメールの映画編集などで知られるMary Stephen、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』等ジム・ジャームッシュ監督のプロデューサーとして知られるJim Stark、タリン・ブラックナイト映画祭キュレーターの Edvinas Pukstaより、絶賛コメントが到着した。

【コメント】

■柘植伊佐夫(人物デザイナー)
モニュメントを作るのもモニュメントを巡るのも自分である。モニュメントを忘れるのもモニュメントに失望するのも自分である。しかしそれらの記憶は無意味ではない。
記憶を失くせば苦しみから逃れられるけれども生きる喜びも失う。詩人リム・カーワイの淡い色の映像からそんな声が聞こえた。

■倉持明日香(タレント)
人間とは愛とは、希望とは。
美しき自然の中に散りばめられたぬくもりを、壊さないよう紡いでいく旅でした。

■田中泰延(作家)
リム・カーワイ監督は「サイバーパンクなラブサスペンスです」と言っていたが、ぜんぜん違う。これはバルカン半島の風景の中で交差する、過去と未来、孤独と邂逅、創作と日常、愛と嫌悪、戦争と平和、生と死の叙事詩だ。
そんな壮大なテーマを語りすぎず、すべてを映像で語るストイックさが絶妙な映画だった。

■真利子哲也(映画監督)
淡々と進むバルカン半島を巡る映画を観ていて、自分がどこにいるのか分からなくなる。どこか可笑しく控えめで、それでいて野心的でデタラメで、みんなに認められることじゃないかもしれない。
それでもリム・カーワイは命をかけて映画をやっている。映画は彼の生き様だ。所在ないまま、漂流し続けるなんて誰にでもできることじゃない。だから彼の映画はいつもとても優しくて、愛おしい。

■舩橋淳(映画監督)
ただならぬサイバーパンク・ミステリー。
一見、おだやかな中欧の日常を捉えたロードムービーかと思えば、旅する映画監督(無論、LKW の現し身だろう)の目線を通して、バルカン諸国のきな臭い歴史と痛みが滲み出て来て、それが現代の破綻しゆく世界と呼応しているかのよう。
若き日のヘルツォークの狂気と、西部劇の荒野、本家 WKW 的な粘り気のあるラブがミックスされて、トラベルミステリーとして仕上げられている異様な傑作!

■森直人(映画評論家)
混沌と祝祭、追憶と流浪のメタシネマ。監督の自画像が特異な妄想に包まって表出されているという意味で、これはリム・カーワイの『8 1/2』と呼ぶに相応しい。

■Mary Stephen (映画編集)
この混乱した絶望的な時代に、私たちはどうやって自分の方向性を保つのだろうか。リム・カーワイは再びバルカン半島を彷徨いながら自分の人生を重ねながら映画を撮った。
今日の大量生産されたマス・フォーマットの「産業映画」の世界で、彼の作品はとても新鮮であり、麻痺した感覚や思考を目覚めさせるために、発見する価値がある。

■Jim Stark(プロデューサー/『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ダウン・バイ・ロー』(ジム・ジャームッシュ監督)等)
観客をバルカン半島のシュールなロードトリップに連れ込み、最後はこの世のものとは思えないほど素晴らしい所にたどり着かせる。
リム・カーワイは注目すべき才能の持ち主だ。

■Edvinas Puksta(タリン・ブラックナイト映画祭キュレーター)
常に実験的なことに挑みつづけ、とどまることを知らないリム・カーワイ。
おそらく彼は、バルカン諸国での撮影を頻繁に敢行する、唯一のアジア人映画監督である。
『すべて、至るところにある』は、ボスニア・ヘルツェゴビナでの戦争と虐殺の過酷な歴史的記憶、コロナ禍の悲しい現実、ロードトリップの冒険的な意外性、そして本物の巨大モニュメントを使った不気味で独創的なファンタジーだ。
即興的でミステリアスな、悲哀に満ちていながら愉快!こんなにも魅了的で独創的な物語はないだろう!

【STORY】

エヴァは旅先のバルカン半島で、映画監督のジェイと出会う。その後、パンデミックと戦争が世界を襲う。

ジェイはエヴァにメッセージを残し、姿を消してしまう。エヴァはジェイを探しに再びバルカン半島を訪れ、かつてエヴァが出演した映画が『いつか、どこかに』というタイトルで完成していたことを知る。

セルビア、北マケドニア、ボスニアでジェイを探す中で、エヴァはジェイの過去と秘密を知ることになり…。

映画『すべて、至るところにある』2024年1月27日(土)より
シアター・イメージフォーラム他全国順次公開!

アデラ・ソー(蘇嘉慧) 尚玄 イン・ジアン(蔣瑩)
監督・プロデューサー・脚本・編集:リム・カーワイ
撮影:ヴラダン・イリチュコヴィッチ 録音・サウンドデザイン:ボリス・スーラン 音楽:石川潤
宣伝デザイン:阿部宏史 配給:Cinema Drifters 宣伝:大福
2023|日本|カラー|DCP|5.1ch|88 分
©cinemadrifters

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