日本一のコメディ俳優は? 芸人泣かせのお笑いセンスをもつ名優5選。驚異のアドリブ力を誇る役者をセレクト
多くの映画ファンにとって、アクション映画、SF映画に次いで人気なのがコメディ映画であることはご存じだろうか? そんなコメディ映画に欠かせないのが、抜群のお笑いセンスを持つ俳優たちである。今回は、芸人泣かせのお笑い俳優5人と、彼らの芝居が堪能できる作品をセレクトして紹介する。(文・野原まりこ)
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天才・松尾スズキが認めた大人計画の神童
荒川良々
【注目ポイント】
阿部サダヲや平岩紙など、個性的な俳優が多く集まる大人計画に所属する荒川良々。坊主頭で変な喋り方をする俳優といえば分かるだろうか。
芸人が最も欲しいと願うであろう個性的なキャラを、意図せずに生み出す天性の才能は芸人泣かせである。
そんな荒川良々は、佐藤二朗らを排出した1995年から現在も続く俳優たちの登竜門「ラフカット」で、毎年何百と集まる俳優たちの中から、ほんの一握りの役者たちが選ばれる超難関の公演オーディションに合格し、俳優としてのキャリアをスタートさせた。
その後、大人計画の主催である松尾スズキに見初められ、本格的に俳優の道を歩んでいくことになる。
舞台、映画、ドラマなど、どんなジャンルでも唯一無二の存在感を発揮する彼の、珠玉の一本をご紹介しよう。
荒川良々の演技を堪能するためのお勧めの一本
『予告犯』(2015年)
2011年から2013年まで「ジャンプ改」にて連載された、筒井哲也の漫画『予告犯』を原作に、生田斗真主演で製作された本作。
ある日、動画サイトに新聞紙を頭に被った男“シンブンシ”が、集団食中毒を起こした食品加工会社に放火予告をする動画が流される。この出来事を皮切りに、シンブンシは法ではさばけない犯罪者たちを狙って、犯罪予告をしては実際に事件を起こして制裁を与える。
やがてシンブンシの犯行を真似する模倣犯まで出現し、社会現象を巻き起こす。
荒川良々は、予告犯を犯す組織“シンブンシ”の1人“メタボ”を演じる。本作でも彼らしい、おかしみのある演技が炸裂している。
“シンブンシ”たちが予告犯を犯すようになる前、本来であれば重機で作業するような現場で、過酷な肉体労働をさせられていた。作業中に仲間の一人が倒れてしまいメタボが介抱すると、上司が「手を貸すな!欠員は補充すればいいだけだ!」と怒鳴り散らす。
理不尽な扱いを受けても荒川良々演じるメタボは「はーい、了解で〜す」と気の抜けた返事をする。本来であれば胸が痛みそうなシーンであるが、その言い方が絶妙な面白さを醸し出しており、シーンをより多角的な視点で見ることができるようになっている。
本作に限らず、変な喋り方をしてはシリアスなシーンもなぜかおかしいシーンに変えてしまう荒川良々。ちょい役で、誰よりも存在感を残すのが大人計画の役者らしい。