ラストシーンの意味は? 映画『生きる』徹底考察。ゴンドラの唄に込められた意図とは? 黒澤明による不朽の名作を深掘り解説
text by 編集部
2022年にノーベル賞作家カズオ・イシグロ脚本でリメイクされた黒澤明監督の代表作『生きる』。黒澤明ならではの映像の演出の秘密とは? 映画史に残るラストシーンはなぜ生まれた? 名曲「ゴンドラの唄」に込められたメッセージとは? 多角的な視点から名作を解き明かす。<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>
『生きる』あらすじ
市役所で働く渡辺勘治(志村喬)は、若い頃とは打って変わり、仕事への熱情を完全に失っている。目の前に運ばれてくる書類にハンコを押すだけの張りのない日々を送っていた。
市役所で働く従業員たちは一様にやる気がなく、住民の切実な陳情は市役所や市議会の中でたらい回しにされるなど、不健全な体制がはびこっていた。
ある日、渡辺は体調に異変を察知し、病院に足を運ぶ。医師から胃潰瘍と告げられるも、実際には胃癌に罹っていることを悟る。残された時間はもう長くない。
それまで深く考えたこともなかった“死”を意識した渡辺は、これまでの人生を振り返っては、その無意味さに打ちひしがれる。
市役所を無断欠勤した渡辺は、貯金をすべておろし、目的もなく夜の街をさまようのだった…。