全然似てない…原作を冒涜? 漫画実写化、最低のキャラクター(2)特大に炎上…原作完全無視の極悪な改変で酷評
多くのファンから期待がかかる人気作品の実写化だが、すでにイメージが固まっているキャラクターを演じるのが、そう容易くないことを理解はしていても、やはりイメージと違うとがっかりしてしまうものだ…。そこで今回は、原作と大きく離れてしまった、人気作の実写化の再現度が低いキャラクターを5人セレクトして紹介する。(文・ZAKKY)
———————–
お粗末すぎるオリジナルキャラが酷評の的に
長谷川博己『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』シキシマ
監督:樋口真嗣
脚本:渡辺雄介、町山智浩
出演者:三浦春馬、水原希子、長谷川博己、本郷奏多、三浦貴大、桜庭ななみ、松尾諭、石原さとみ、ピエール瀧
【作品内容】
100年以上前、突如として現れた巨人に多くの人類が捕食された。生き残った人々は巨人から身を守るため壁を作り、その内側での暮らしを営むようになっていった。多くの人間が壁の内側での暮らしに甘んじでいている中、エレン(三浦春馬)は壁の外の世界に想いを馳せていた。
しかしそんな時、壁の高さを超える超大型巨人が、壁を壊して街を襲った。次々となだれ込んでくる巨人たちに太刀打ちできない人間たちは、またもや多くの犠牲を払ってしまう。2年後、エレンは巨人を駆逐するため、調査兵団に入団する。
【注目ポイント】
公開当時、期待よりも心配の方が上回った本作だが、蓋を開けてみると、案の定興行的にも批評的にも大失敗。中でも最悪の改変が、原作屈指の大人気キャラである「リヴァイ」の代わりに登場したオリジナルキャラ「シキシマ」だ。
これは、再現度どころか、キャラクターそのものが変わってしまったため、そりゃ、炎上するという話である。
長谷川が演じたシキシマは、主人公エレンと密接な関係性を築く重要人物であり、リヴァイ同様「人類最強の男」と謳われている。人の心を動揺させるような語り口調、戦闘中でもリンゴをかじっているという、リヴァイとはまた違った意味で異色のキャラクターである。
この時点で、原作ファンの中で違和感がつのり、鑑賞の妨げになったであろうことは、原作未読の方にも容易に想像がつくだろう。その後、主人公・エレン(三浦春馬)とミカサ(水原希子)との間で奇妙な三角関係が描かれ、あろうことかエレンはシキシマに嫉妬心を持ち始める…という、原作完全無視のストーリーが繰り広げられ大炎上。
さらに、致命的なことに、シキシマがミステリアスなキャラなのはわかるが、内面が深く描かれておらず、薄っぺらい印象を与える。また、戦闘シーンも少ないため、「人類最強の男」という設定がまったく活きていない。戦闘中にリンゴをかじるという身振りで、余裕のある男を演出したい気持ちはわかる。しかし、観ているこっちが求めているものはそれじゃないのだ。
筆者の見立てによると、原作の「リヴァイ」自体がおそらく企画段階から「スピンオフ作品を作っても通用する人気キャラにしよう!」という狙いのもと発案されたキャラクターである。その目論みは成功し、リヴァイは漫画・アニメ史上に名を残す名キャラクターとなった。しかし、リヴァイの人気は『進撃の巨人』の実写化プロジェクトにおいて悩みの種になったのではないだろうか。
実写版製作委員会の方々は、「そんな人気キャラ、誰が演じても批判を浴びるのではないか」と頭を悩ませたに違いない。そんなあたふたの最中、苦肉の策で生まれたのが、オリジナルキャラ「シキシマ」だったのではないだろうか。これはあくまで筆者の想像だが、企画会議の現場を想像するだけで、製作陣の苦悩が伝わって涙が込み上げてくる。
ここまで来ると、演じている長谷川博己が何とも不憫に思えてくるが、長谷川はこの難役に確かな演技でなんとか説得力を持たせようと奮闘しており、俳優としての力量が遺憾なく発揮されている。その点はちゃんと強調しておきたい。
【関連記事】
全然似てない…原作を冒涜? 漫画実写化、最低のキャラクター(1)
全然似てない…原作を冒涜? 漫画実写化、最低のキャラクター(3)
全然似てない…原作を冒涜? 漫画実写化、最低のキャラクター(全作品紹介)