巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督映画『ノスタルジア 4K修復版』高精細のレストアで鮮明に映し出される本編&コメント解禁
唯一無二の映像世界で批評家や観客たちを魅了した、旧ソ連の巨匠アンドレイ・タルコフスキー。彼の長編6作目となる映画『ノスタルジア』が、1月26日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国の劇場にて順次公開する。今回は、高精細レストアで蘇った本編シーン&作品を愛してやまない文化人からのコメントが到着した!
高精細レストアで蘇った水、光、「1+1=1」
本編シーン解禁!
今回解禁された本編シーンは、タルコフスキーの代名詞といえる、滴り落ちる「水」、窓から差し込む「光」が、高精細のレストアでより鮮明に映し出されている。
また、本作を愛してやまない文化人からコメントが到着。ロシア文学者の沼野恭子氏、文学紹介者の頭木弘樹氏、映像作家・小森はるか氏、映画批評家・須藤健太郎氏、写真家・齋藤陽道氏が寄稿している。
【コメント】
私たちはだれでも、どこか現実に適応できないところがある。だから、たとえ自分の国の自分の町の自分の家にいても、本来の居場所ではないところにいるようなノスタルジアを感じる。
そのことを自覚させられ、同時に世界とのつながりを取り戻したいと思わせてくれる映画だ。
-頭木弘樹(文学紹介者)
神話のような悠久の映像の流れに身も心もおいて観ていると、あらゆる亡き人との最後の出会いの時間をも想い出していた。
ふと、あちら側から、こちら側を見つめるまなざしを感じた。奇妙な懐かしさを覚えた。このまなざしの感触、私は知っていた。ずっと、知っていた。
-齋藤陽道(写真家)
1949年、アウシュヴィッツ以後に詩を書くのは野蛮である、とアドルノはいった。
1964年、餓死する子供を前にすれば『嘔吐』など無力である、とサルトルはいった。
災害、飢饉、感染症、侵略、戦争、民族浄化。
正視しがたい「悲惨のイメージ」が日々SNSを通して伝えられるなか、映画に何ができるか。
映画にはどんな意義が残されているか。映画は何をなすべきか。
2024年1月、タルコフスキーの『ノスタルジア』は問いを突きつける。
-須藤健太郎(映画批評家)
私たちには光としては記憶されないであろう風景に、アンドレイは辿り着けない故郷の光線を見ている。
霧に覆われた風景が『ノスタルジア』の記憶を甦らせるとき、彼の帰郷への想いを忘れていないことに繋がっているのかもしれない。
-小森はるか(映像作家)
ロシアによるウクライナ侵攻開始以降<ノスタルジア>が切実なテーマになっている今、新たなリアリティを得てふたたび私たちの前に立ち現れた本作品。
息を呑むほどに美しいこの交響詩を<奇跡>と呼ばずして何であろう!
-沼野恭子(ロシア文学者)
【あらすじ】
モスクワからイタリアにやってきた詩人アンドレイ・ゴルチャコフと通訳の女性エウジェニア。2人は、ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿る旅をしていたが、旅の終盤アンドレイは病に冒されていた。
そんな中、2人は、世界の終末が訪れたと信じ家族で7年間も家に閉じこもり、人々に狂信者と噂されるドメニコという男に出会うのだった―。
【本編&予告】
映画『ノスタルジア 4K修復版』1/26(金)より
Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー!
Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下では、1月27日(土)にロシア文学者・沼野恭子氏、28 日(日)に映画批評家・須藤健太郎氏を招き アフタートークイベントを実施する。詳細は、23日(火)午後に、公式サイト及び公式X(旧 Twitter)にて発表予定。
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:トニ一ノ・グエッラ
撮影監督:ジュゼッペ・ランチ
出演:オレーグ・ヤンコフスキー、エルランド・ヨセフソン、ドミツィアナ・ジョルダーノ
1983/イタリア=ソ連合作/ビスタ/カラー/126 分 原題:NOSTALGHIA
©1983 RAI-Radiotelevisione Italiana.LICENSED BY RAI COM S.p.A.-Roma-Italy, All Right Reserved.
配給:ザジフィルムズ 公式サイト
【関連記事】
名匠・岩井俊二監督の最高傑作は? 世界に誇る日本映画5選。唯一無二の映像美、リアルで残酷な物語に魅せられる
映画史上最も美しい同性愛カップルは…? 映画・ドラマに登場するゲイカップル5選。多様性を学べる作品をセレクト【洋画編】
タイトルの意味は…? ピンクは最後どうなった? 映画『レザボア・ドッグス』徹底考察。何が面白い? パクリの元ネタも解説