88分に込められた魔法…共感指数の高い青春映画の傑作。映画『僕らの世界が交わるまで』考察&評価。忖度なしガチレビュー
text by 寺島武志
海外ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』でマイクを演じたフィン・ウルフハードと、映画『アリスのままで』などに出演するジュリアン・ムーア共演の映画『僕らの世界が交わるまで』が上映中だ。今回は、反発し合う親子を描いた本作のレビューをお届けする!(文・ 寺島武志) 【あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー】
ジェシー・アイゼンバーグ×A24が贈る
繊細な親子関係を描くヒューマンドラマ
DV被害者のためのシェルターを運営する母・エブリン(ジュリアン・ムーア)と、高校生である傍ら、ネットのライブ配信で自作の曲を披露するライバーとして、世界中にフォロワーがいる息子・ジギー(フィン・ウルフハード)のカッツ家の母子が本作の主人公だ。
社会への奉仕に心血を注ぐエブリンと、フォロワー数を増やすことしか考えていないジギー。2人は互いのことを分かり合えず、知ろうとさえしない。そんな2人がそれぞれの日々の中で壁にぶつかり、そこから2人の心境は少しずつ変化していく。
ジェネレーションギャップや、理想と現実の食い違いといった身近な出来事の中で、失敗を経て、母と息子は心を通じ合わせていくストーリーだ。
マーク・ザッカーバーグの半生を描いた『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)で主演を務め、数々の主演男優賞を受賞したジェシー・アイゼンバーグが初監督を務めたこの作品。
製作は、『ラ・ラ・ランド』(2016年)で、オスカー女優となった賞を獲得したエマ・ストーンが、夫のデイヴ・マッカリーとともにと共に設立した制作会社「フルート・ツリー」が初めてプロデュースを手掛けた作品でもある。
さらには、2012年設立で、多くのヒット作を世に送り出した製作会社「A24」が製作・配給を担当したことで、公開前から期待度の高い作品だった。