世界に影響を与えた日本映画は…海外映画の元ネタになった偉大な邦画(2)天才による最高のアニメ、その影響は?
text by 編集部
黒澤明、北野武、宮崎駿―。日本映画界は、これまで世界に冠たる巨匠たちを数多く生み出してきた。海外の映画監督の中には、彼らからの影響を公言している監督も少なくない。今回は、海外の映画に影響を与えた知られざる日本映画を5作品セレクトしてご紹介しよう。(文・編集部)
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ハリウッド屈指の映像派監督に影響を与えたジャパニメーションの鬼才
『ブラックスワン』の元ネタ→今敏『パーフェクトブルー』(2006)
監督:今敏
脚本:村井さだゆき
原作:竹内義和
出演:岩男潤子、松本梨香、辻親八、大倉正章
【作品内容】
人気アイドルグループ「CHAM」のメンバーである霧越未麻は、人気絶頂の中、突如アイドル卒業を宣言する。女優に転身した未麻はドラマに出演するも、事務所の方針でレイプシーンやヘアヌード写真集など、際どい仕事をこなしていくように。しかしそんな彼女に、アイドル時代の熱狂的なファンから脅迫するようなFAXが届きはじめ…。
【注目ポイント】
世界中に数多くのファンを持ち、米タイム誌の「2010年を代表する人」にも選出されている今敏。『パーフェクトブルー』は、ストーカーにおびえるアイドルの姿を描いた、今の監督デビュー作だ。
国内屈指のサイコホラー作品としても知られる本作だが、アカデミー賞主演女優賞を獲得したサイコスリラーの名作『ブラックスワン』の元ネタになっているといわれると驚かれる方も多いのではないだろうか。
実は、監督のダーレン・アロノフスキーは『パーフェクトブルー』のリメイク権の購入を画策していたが、その後、結局権利関係で購入を断念。代わりに、合わせ鏡のシーンなどさまざまな作品でオマージュをささげていることを公言している。
なお『ブラックスワン』には、今敏の遺作である『パプリカ』(2006)へのオマージュも散見される。『ブラックスワン』が公開された2010年に46歳で夭折した今。もし彼が生きていたらアロノフスキーとの共作もあり得たかもしれない。
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