劇場版を超えるスケール…原作者絶賛のワケは? ドラマ『沈黙の艦隊』考察&評価。主人公の目的は? 続編の舞台は? 徹底解説
text by 寺島武志
2023年に劇場公開された映画『沈黙の艦隊』のドラマ版『沈黙の艦隊 シーズン1 東京湾大海戦』がアマゾンプライムビデオで絶賛配信中だ。「やまと」を巡った首脳会談、日本政府が戦慄する事実、キャラクター心情を読み取りながら、今回は、合計8話のレビューをお届けする。(文・寺島武志)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
「世界の国家を一つにする」国際問題を巻き込んだ人間ドラマ
“実写化不可能”と言われていたかわぐちかいじの名作マンガ「沈黙の艦隊」を、大沢たかおが主演・海江田四郎を演じたほか、プロデューサーにも名を連ねて、2023年に実写映画化された本作。
アマゾンプライム版では、米軍の原子力潜水艦「シーバット」の艦長・海江田が突如、反旗を翻し、核ミサイルの搭載をほのめかしながら、「世界を1つの国家にする」という崇高な思想を掲げ、自らを国家元首とする独立国家「やまと」の建国を宣言する。
劇場版では、かつての部下であり、海自の潜水艦「たつなみ」の艦長・深町洋(玉木宏)や、米軍第7艦隊の追っ手から、卓越した操艦技術を駆使し、姿を消すところまでが描かれている。
アマゾンプライムで配信されているドラマ版では、海江田や副艦長の山中栄治(中村蒼)をはじめとするシーバット改め「やまと」の乗組員のその後の動きや心情、日本政府首脳やホワイトハウスをも巻き込んだ国際問題、さらに「たつなみ」艦長の深町や副艦長の速水貴子(水川あさみ)らも加えた人間ドラマを、8話にわたって掘り下げている。
3話までは、おおよそ劇場版のストーリーに沿って描かれているが、4話からは竹上登志雄首相(笹野高史)、海原渉官房長官(江口洋介)、影山誠司外務大臣(酒向芳)、曽根崎仁美防衛大臣(夏川結衣)といった政府中枢、米国大統領のニコラス・ベネット (リック・アムスバリー) 、世界最大級の原子力空母「ロナルド・レーガン」を司令塔とする米軍第7艦隊所属の軍人たち、事件の真実を追うニュースキャスター・市谷裕美(上戸彩)といった面々の思惑が交錯する重厚なストーリーが紡がれている。