これは許せない…日本アニメの海外実写版、世紀の失敗作(1)お金目当てで愛なし…世界が激怒した原作ガン無視
世界中で人気を誇る日本のマンガやアニメは、これまでハリウッドを中心に世界中で映画化されてきた。しかし、中には目も当てられないような出来の作品も数多く存在する。今回は、そんな作品の中からいわくつきの5本をセレクト。映画の内容と改変ポイントを詳しく解説する。(文・編集部)
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鳥山明も呆れた世紀の失敗作
『ドラゴンボール EVOLUTION』(2009)
上映時間:85分
監督:ジェームズ・ウォン
脚本:ベン・ラムジー、ジェームズ・ウォン
原作:鳥山明
キャスト:ジャスティン・チャットウィン、ジェームズ・マースターズ、エミー・ロッサム、パク・ジュンヒョン、田村英里子、ジェイミー・チャン、関めぐみ
【作品内容】
世界各地に散らばった7つのドラゴンボール。持ち主はどんな願いも叶えられると言われるこのボールを、世界征服を企むピッコロ大魔王がさがしはじめていた。
この野望を阻止するために動いたのは、銀河の彼方からやってきた高校生、孫悟空。悟飯のもとで修行をつみ、超人的な身体能力を獲得していた彼は、ドラゴンボールを集めるため旅立ち、同じくドラゴンボールを探すブルマや亀仙人との出会いで成長していく。
【注目ポイント】
全世界で累計発行部数2.6億部という驚異的な人気を誇るマンガ『ドラゴンボール』。しかし、本作の実写版は、ハリウッドとは思えないチープなCGに中途半端なカンフー、そして「孫悟空が冴えない高校生」という原作ガン無視の設定で、大失敗に終わった。
本作が失敗した原因は、ひとえに監督の無理解にある。『少林サッカー』(2001)で知られるプロデューサーのチャウ・シンチーや主演のジャスティン・チャットウィンが原作の大ファンであるのに対し、監督のジェームズ・ウォンは原作に全く理解を示さず、原作者である鳥山明をはじめとするスタッフの意見も頑なに聞き入れなかった。
その結果、プロデューサーであるチャウ・シンチーがプロモーションをボイコットするまでに至ったという。
なお、脚本家であるベン・ラムジーは、後年、お金に目がくらみ、原作への愛がないまま脚本を書いてしまったと正直に告白。鳥山も、『ドラゴンボールZ 神と神』(2013)で本作への失望を赤裸々に語り、「『たぶんダメだろうな』と予想していたら本当にダメだった某国の実写映画」とこき下ろしている。
なお、監督のジェームズ・ウォンは本作を機に映画監督業を引退。失敗の代償はあまりに大きかったかもしれない。
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