ヤバすぎてドン引き! 暴力・性描写…ぶっ飛び時代のドラマ(3)ありえない! 衝撃の最悪セリフはさすがにNG
コンプライアンス意識の低かった時代、映画もドラマもやりたい放題だった。暴力、過激な性描写、宗教問題、闇金…今の時代からは考えられないような描写を含むドラマが多数存在していた。中にはスポンサー降板の事態に陥る寸前の作品まであったという。そこで今回は、不適切にもほどがあるドラマを5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)
————————–
今観たら男性中心主義的な展開に違和感
『愛という名のもとに』(1992)
放送期間:1992年1月9日~3月26日
放送時間:木曜22:00~22:54
放送局:フジテレビ系
脚本:野島伸司
最高視聴率:32.6%
キャスト:鈴木保奈美、唐沢寿明、江口洋介、洞口依子、石橋保、中島宏海、中野英雄、竜雷太、佐藤オリエ、瀬能あづさ、夏川結衣、山本耕史、高畑淳子、深津絵里、ルビー・モレノ、森本レオ、加藤善博
【作品内容】
大学時代のボート部の仲間だった藤本貴子(鈴木保奈美)、高月健吾(唐沢寿明)、神野時男(江口洋介)、飯森則子(洞口依子)、塚原純(石橋保)、斉藤尚美(中島宏海)、倉田篤(中野英雄)の7人。
卒業から3年、就職せず渡米した時男を除いて、社会人としての道を歩んでいた彼らは、恩師の葬式で久しぶりに再会する。揃って充実した日々を送っているかのように振る舞うが、実はそれぞれ悩みを抱えていた。
自分の夢を失いかけていた彼らは、変わらぬ友情を確かめ合うが、その陰では、ドロドロの不倫愛、予期せぬ妊娠、勤務先でのパワハラによる自殺などが描かれ、後に彼の作風を決定づける野島伸司の脚本によって、社会の負の部分を表現している。
【注目ポイント】
鈴木保奈美、唐沢寿明、江口洋介ら、当時、絶大な人気を誇っていた俳優が勢揃いした青春群像劇である本作。
トレンディードラマで一躍、名プロデューサーの名を欲しいままにしていた大多亮が「次は好きな作品を作りたい」と、1968年公開の映画『若者たち』と、社会問題を発信しながら音楽活動を続けた“フォークの神様”岡林信康に影響を受け、そのイメージを持って、野島伸司に脚本を依頼。
野島は、自身が好きだった1985年公開のアメリカ映画『セント・エルモス・ファイアー』と、浜田省吾の楽曲をイメージし、そのアイデアを直接、浜田本人にぶつけ、“当て書き”のような形でシナリオが生まれ、加えて、1981年の楽曲「悲しみは雪のように」を主題歌として採用。同曲がリバイバルヒットしただけではなく、作中の挿入歌としても浜田の楽曲が多用された。
ストーリーは、人間関係のトラブルや不幸のオンパレード。特に自己中心的な男たちに翻弄される女性の悲哀は目を覆わんばかりだったが、浜田省吾の楽曲によって、それらがすべて“美談”のように仕立てられている。
特に、ドラマのクライマックスでは“チョロ”というあだ名で呼ばれていた証券会社の営業マンの倉田が、フィリピンパブで働くジャパゆきさんのJJ(ルビー・モレノ)に騙され、彼女に貢ぐために会社の金を横領。その行為を指摘したパワハラ上司の杉本(加藤善博)を殴った上で、逃亡の末、首吊り自殺する。
その葬儀に参列した杉本は、それまでの倉田への態度を悔い改めるのだが、当初の台本では「あんな奴、死んで当然だ」といった類のものだったという。しかし、証券業界最大手の野村証券からクレームが入り、スポンサーの全引き上げをほのめかされたことから、急きょセリフの変更を強いられることになる。
フィクションであるとはいえ、今の倫理観では正当化し難い演出が込められた本作。今でも配信サービスやソフトでの視聴が可能だが、現在、同様の作品が製作されたら、大炎上間違いなしだろう。
【関連記事】
ヤバすぎてドン引き! 暴力・性描写…ぶっ飛び時代のドラマ(1)
ヤバすぎてドン引き! 暴力・性描写…ぶっ飛び時代のドラマ(4)
ヤバすぎてドン引き! 暴力・性描写…ぶっ飛び時代のドラマ(全作品紹介)