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「西島秀俊の最高傑作は…?」世界的評価の高い出演作(4)。殴られ続け…狂おしいほどの愛、その行方は?

映画『ドライブ・マイ・カー』で主演を務め、第45回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞した西島秀俊。しかし彼の魅力はクールな表情や笑顔だけではない。ただそこに存在するだけで人を魅了する説明のつかない不思議な存在感に、女性のみならず男性からの支持も厚い。そんな西島秀俊の魅力に浸れる映画を5本紹介する。(文・しばちゅう)

●大きく腫れ上がった西島秀俊の顔と肉体美は必見

『CUT』(2011)

監督:アミール・ナデリ
脚本:アミール・ナデリ
出演:西島秀俊、常盤貴子、笹野高史、菅田俊、でんでん、鈴木卓爾

【作品内容】

売れない映画監督の秀二(西島秀俊)は、亡くなった兄の借金を返済するために、ヤクザ相手に殴られ屋をすることになる。殴られても殴られても、ただ映画を愛する気持ちだけで立ち上がる…。

【注目ポイント】

「クソクズ映画め!」
もうろうとした意識の中でひたすら口走る秀二。大きく腫れ上がった彼の顔に、借金取りたちがパンチを繰り出す。なんと狂おしい映画讃歌だろうか。
本作で西島が演じるのは、映画をこよなく愛する売れない映画監督・秀二。彼は、金儲けが目的の娯楽映画を敵視し、体の内で炎をたぎらせ続けている。

そんな彼の闘志は、借金取りから受けたあざとともに大きく膨れ上がっていく。あまりの痛々しさに、死んだ兄のボス(菅田俊)すら助け舟を出す。しかし、秀二は殴られ屋をやめない。借金返済という当初の目的は空転し、ただ殴られることが目的になる。むき出しになるのは、映画への偏愛だ。

本作で印象的なのは、なんといっても西島の肉体美。一発ごとに殴られ、腫れ上がっていく彼の顔からは、自己犠牲的な美しさが浮かび上がる。特に殴られ終わった後、傷を癒すために映画の光を浴びるシーン。白黒の光に照らされた彼の裸体は、冒頭の会話に登場する三島由紀夫のそれを思わせる。

借金返済の最終日。彼は、自ら申し出て、100発のパンチを受けることになる。借金取りのパンチに、古今の名画を重ね合わせる秀二。その愛はあまりにも狂おしく、そして美しい。

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