篠原涼子＆バカリズムがW主演のドラマ『イップス』（フジテレビ系）が放送中。“書けなくなった”ミステリー小説家と“解けなくなった”刑事の二人が、事件を解決するミステリーコメディー。今回は、インフルエンサーの生配信中に殺人が起こる第2話のレビューをお届け。(文・釣木文恵)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール：釣木文恵】

ライター。演劇、お笑いなどのインタビュー、ドラマのレビューを執筆。主な媒体に『TV Bros.』、『Quick Japan』、『GINZA WEB』、『ぴあ』等。

刑事だけど事件と距離のある、絶妙な森野の立場

ワイドショーのレギュラーとして、ニュースをばっさり斬るコメントを残す黒羽ミコ（篠原涼子）。世間からもコメンテーターとしての認識のほうが高い彼女の本業はミステリー作家。しかし、「脳の緊張状態が引き起こす心理的症状で、今までできていたことが突然できなくなってしまう状態」＝イップスになってしまい、5年もの間新作を書けずにいた。

森野徹（バカリズム）は警視庁捜査一課で圧倒的な検挙率を誇るエリート刑事だったが、あることをきっかけに事件が解けなくなるイップスに。そんな二人が出会い“絶不調バディ”を組む。

2話で2人が偶然再会したのはカラオケ。1話のサウナといい、今回のカラオケといい、不調な二人がそれぞれ少しでも気分転換をしようと立ち寄った先で会ってしまうという状況。しかも、2話とも殺害の場に出くわしてしまうという名探偵コナンスタイル、というか広く探偵ものっぽい始まりだ。

森野は刑事でありながら、イップスで本来自分が携わるべき事件の捜査に参加していない。だからこそ事件からは距離のある部外者的な立場で事件に関わりつつ、いざというときには刑事であることを利用して犯人や証人から話を聞いたり、ミコを捜査に携わらせたりすることができる。

2話分を見終えてみると、この森野は案外絶妙な立ち位置だな、と思う。今回森野がその立場を「トイレを借りる」ために使ったところも、間が抜けていていい。