杉咲花と若葉竜也の芝居合戦はなぜ心を打つのか…? 杉咲提案の演出とは? ドラマ『アンメット』第2話考察&感想レビュー
杉咲花主演の月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)。本作は、“記憶障害の脳外科医”が主人公の、新たな医療ヒューマンドラマ。今回は、左の空間を認識できないサッカー強豪校のエースが登場した第2話の物語を振り返るレビューをお届けする。 (文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
できないことを受け入れ、
自分にできることを探していくことの難しさ
アメリカの大学病院から赴任してきた三瓶(若葉竜也)の後押しで脳外科医に復帰し、脳卒中患者のバイパス手術に助手として参加したミヤビ(杉咲花)。主治医の大迫(井浦新)は復帰は可能という判断を出したものの、いきなり手術に参加するのは“危険極まりない行為”として院長である藤堂(安井順平)に抗議する。
「後遺症のある君にしかできないことがあるはず」。ミヤビは大迫の言葉を胸に、まずは焦らず自分にしかできないことを探そうと思い直すのだった。
そんな中、サッカー強豪校でエースとして活躍する高校生の鎌田亮介(島村龍乃介)が試合中に倒れ、救急に運ばれてくる。検査の結果、亮介は右脳を損傷したことによる“左半側無視”という後遺症が残っていると判明。しかも、亮介の場合、左が見えないだけでなく、左側の情報を全て無視してしまう重い症状が見られた。
それでも、全国大会出場までに復帰を目指して前向きにリハビリに励む亮介。ミヤビもマンツーマンで亮介のリハビリに付き添い、普通に日常生活が送れるまでになった。だが、久しぶりに参加した練習で左側にいた選手と接触し、転倒。ミヤビは検査の結果から判断し、「今まで通りサッカーを続けることは難しい」と亮介に告げる。
亮介は現実を受け入れられず、リハビリを続けるが、思うように体が動かない自分に苛立ちは募るばかり。自分は主治医として何ができるのか。ミヤビが思い悩む中、亮介が病院からいなくなってしまう。ノートに記された会話のメモから、亮介がいつも一人で練習しているという高架下に向かうミヤビ。
「アンメット」第2話では、ミヤビが自分と同じく後遺症を抱える亮介の苦しみに寄り添った。