怒りのぶつけどころがない…川口春奈“七苗”の悩みに共感が集まるワケ。ドラマ『9ボーダー』第2話考察&感想レビュー
text by 菜本かな
川口春奈がTBS金ドラ初主演。木南晴夏&畑芽育と3姉妹役を演じるドラマ『9ボーダー』。19歳、29歳、39歳…各年代のラストイヤーで、3姉妹がモヤり、焦りながら、自分の生きる道を模索するヒューマンラブストーリー。今回は第2話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
『9ボーダー』が描く女性のキャリア問題
『9ボーダー』(TBS系)第2話でいちばん考えさせられたのが、女性のキャリア問題。飲食業のトータルプロデュース会社で働き、最年少で副部長に抜てきされた七苗(川口春奈)は、働くママ(=ワーママ)のしわ寄せを受けまくっているのだ。
筆者のまわりでも、子育てをしながら働いているママはたくさんいる。保育園に預けて、ここから仕事モード! と思ったときに、かかってくる呼び出し電話(「体調が悪そうなので、迎えに来てください」ってやつ)。そのたびに、「すみません、すみません」と謝りながら仕事を代わってもらうのが、すごく心苦しいらしい。
だから、ワーママ・千尋(奥村佳恵)にも同情してしまった。千尋だって、仕事を途中で投げ出したいわけじゃない。ただ、母親としての役割を果たさなければならない。その板挟みで、苦しんでいる。
厚生労働省が発表した「2021年国民生活基礎調査の概況」によると、18歳未満の子どもを持ちながら働いている母親の割合は、75.9%にのぼるらしい。環境のちがいはあれど、4人に3人の母親は千尋のような葛藤を抱えながら働いていることになる。
自分で選んだことなのだから、仕方がないと思う人もいるかもしれない。ただ、女性は結婚したら家庭に入り、子育てをしながら夫を支える……というのがスタンダードだった時代は終わった。ならば、もっと社会全体をアップデートしていかなければならない。