名作ぶち壊し…史上最低のリメイク日本映画(3)飽きるほどうんざり…何のためにリメイク? 拍子抜けの失敗作
優れた映画は国境を超え、異なる地域でリメイクされる。リメイク版の作り手は、オリジナルを超えるために知恵を絞るわけだが、中には、残念ながら力及ばず、縮小再生産になるどころか、オリジナルに泥を塗るような出来栄えの作品も。今回は、海外の映画をリメイクしたものの、不評を買った作品を5本厳選してご紹介する。
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アカデミー賞ノミネートのロードムービーをリメイク。冗長な展開にうんざり
『サイドウェイズ』(2009)
上映時間:123分
監督:チェリン・グラック
脚本:上杉隆之
原作:『サイドウェイ』(2004・アメリカ)
キャスト:小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香、菊地凛子
【作品内容】
冴えない中年シナリオライターの斉藤道雄(小日向文世)が結婚式を控えた友人の上原大介(生瀬勝久)を訪れ、2人でカリフォルニアをワイナリーをめぐるドライブ旅行を始める。そこに田中麻有子 (鈴木京香)、ミナ・パーカー(菊地凛子)2人の女性と出会い、そのドライブに加わる。麻有子は道雄にとって、かつて思いを寄せていた女性でもある。ラブストーリーの要素も取り入れながらも、「大人のコメディードラマ」を標榜した、遅れてやって来た青春群像劇でもある。
【注目ポイント】
2005年アカデミー賞作品賞にノミネートされたアメリカ映画『サイドウェイ』を、小日向文世と生瀬勝久のダブル主演で、リメイクした本作。
キャストが日本人になった以外は、ほぼ原作をなぞったような作品で、目新しさがなく、逆に違和感が残る。ストーリーも、ロードムービー系かと思いきや、驚くほど何も起こらず拍子抜けするほどだ。
もちろん、起伏を欠いたオフビートな展開は、鬼才アレクサンダー・ペインがメガホンをとったオリジナル版の魅力でもある。しかし、ペイン版は随所で毒の効いた描写を挟み込み、風景描写にも優れているため、不思議と飽きずに観ることができる。
その点、日本版はゆったりとしたムードはオリジナル版をしっかり模倣できているが、観客の関心をスクリーンに繋ぎとめるための、工夫と決め手に欠ける印象だ。
登場人物のキャラクターに、起用されたキャストのイメージがピタリとはまっていただけに惜しい作品ともいえる。冗長な展開に加え、「なぜこの作品をリメイクするに至ったのか」という疑問が残る作品である。
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