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巨匠絶賛…和製SFの名作は? 世界で高評価なSF日本映画(4)安楽死の是非を問う…賞を総ナメした理由とは?

text by ニャンコ

日本では、潤沢ではない製作費により、SF映画がチープなものになってしまう。それと同時に、海外でも上映される作品や賞を取っているものなど、角度のついた設定のSF映画も数多くある。今回は、クエンティン・タランティーノやスティーブン・スピルバーグなど、名だたる巨匠が絶賛している、日本のSF映画を5本紹介する。(文・ニャンコ)

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ヴェネチア国際映画祭で評判を呼んだ社会派SFの傑作

『PLAN 75』(2022)

磯村勇斗
磯村勇斗Getty Images

上映時間:112分
監督:早川千絵
脚本:早川千絵
出演者:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美

【作品内容】

満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れらた。

夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。

一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)や、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子(河合優実)は、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。

年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンションに選ばれた。

【注目ポイント】

本作は、75歳以上の人々が生死を選択できる架空の制度を描いた映画であり、世界各国で高い評価を受けている。同時に超高齢化社会の倫理的な問題を扱い、第75回カンヌ国際映画祭で正式上映され、米国アカデミー賞の国際長編映画賞部門の日本代表にも選出された。

また20カ国以上での上映が決定し、その社会的メッセージは国際的に共感を呼んでいる。そして、トロント国際映画祭を含む国際舞台での成功は、日本映画の新たな可能性を示している。

著名な映画評論家や業界関係者も高い評価を与えており、『万引き家族』(2018)でパルムドール(カンヌ国際映画祭最高賞)を獲得した日本を代表する映画監督・是枝裕和は「深い共感と考察を促す作品」と本作を評し、社会のあり方を問い直すきっかけになるとコメントしている。

また、国際的に影響力のある映画評論サイト(Rotten Tomatoes、IMDb)では、「高齢化社会を巧みに反映し、見る者に深い印象を与える」といった真摯なレビューも確認できる。本作が放つ普遍的なメッセージは海外のファンにも浸透しているようだ。

一方で、本作が世界各国で話題となり、多くの観客と批評家からの賞賛を集めているのは、普遍的なテーマを扱いながらも独自の視点を提示しているからでもあるあろう。

メリハリのあるストーリー運びで観客を飽きさせず、それと同時に、倫理的な問題も提示する。このバランスの良さが国際的な高評価につながっているのではないだろうか。

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