世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作(3)監督が大炎上…日本で公開すらされない理由は?
ヒーロー映画は老若男女に愛されるジャンルとして、人気の高いコンテンツだ。マーベルやDCコミックなど、人気のシリーズも数多く存在する中、大ヒットを目指すも、シリーズ最低興収や世間からの反感など、期待外れの結果となるものも少なくない。今回は、その中でも、大爆死と言われた史上最低のヒーロー映画を5本紹介する。(文・寺島武志)
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日本では公開されなかったDC史上“最も不運な作品”
『ブルービートル』(2023)
上映時間:127分
原題:Blue Beetle
製作国:アメリカ
監督:アンヘル・マヌエル・ソト
脚本:ギャレス・ダネット=アルコセル
キャスト:ショロ・マリデュエニャ、ブルーナ・マルケジーニ、アドリアナ・バラッザ、ダミアン・アルカサル、ラオール・マックス・トゥルヒージョ、スーザン・サランドン、ジョージ・ロペス、エルピディア・カリーロ、ベリッサ・エスコベド、ハービー・ギレン
【作品内容】
大学を卒業したハイメ・レイエス(ショロ・マリデュエニャ)は、将来への希望を胸に故郷に戻る。自分の人生の目的を模索する最中、ハイメはエイリアンのバイオテクノロジーが残された古代の遺物「スカラベ」を拾ったことで運命は一変。
スカラベに共生宿主として選ばれたハイメは驚異的で予測不能な力を持つアーマースーツを授かり、最強のスーパーヒーロー「ブルービートル」に変身し、世界征服をもくろむ悪者から愛する家族を守るべく立ち上がる…。
【注目ポイント】
米国の人気コミック「DCコミックス」に登場する「ブルービートル」を実写映画化した本作。
興行収入1,308億ドルで、2023年公開映画の中でも“大爆死レベル”の興行収入に終わり、その内容も散々な評価を受けたがが、製作費が1億ドル程度と低予算だったことで赤字幅は少なく、日本では2023年12月の東京コミコンでプレミア上映されたものの、劇場公開もされないままソフト化に至った。
前評判は高いもので、最初の予告編の公開後、Twitter(現X)で注目を集め、米国のTwitterトレンド1位にまでなった。しかし、その期待感に冷や水をぶっかけたのは他ならぬアンヘル・マヌエル・ソト監督自身だった。
問題視されたのは、アメリカの自治領であるプエルトリコ出身のソト監督のTwitter上での言動だ。
2018年のツイートで、トランプ前大統領がリンカーン初代大統領と同じ運命(暗殺)を辿ることを望むと書き込み、自身の故郷(プエルトリコ)を批判したトランプへの嫌悪を表明した上で、プエルトリコを「アメリカの植民地」であると表現。
これらのツイートは、Twitter上で大炎上。さらに予告編には登場人物のジョージ・ロペスがアメリカを代表するスーパーヒーローであるバットマンを“ファシスト”と呼ばわりするセリフがあり、多くのファンを激怒させた。
ちなみに、ソトのトランプに関するツイートは古いものであり、現在では削除されている。
DC史上“最も不運な作品”というレッテルを貼られた本作。肝心の出来栄えだが、傑作とまでは言えないまでも、家族との絆にフォーカスしたストーリー、凝ったキャラデザインが目を惹く、悪くない佳品に仕上がっている。興味のある人はぜひ一度鑑賞してみてほしい。
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